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28.おっさん、金玉に魅了される

「とりあえずダンジョン配信は続けた方が良いが、凛については少し考えないといけないな」


 花田が言うようにこのままだと凛が女王様キャラだと思われてしまう。


 ガチャ配信の視聴者がいつのまにか変態しかいないのだ。


 コメントは伏せ字ばかりで子どもには到底見せられない内容ばかり。


「それにしても凛ってこんな強気な性格だったか?」


 昔から凛を知っている花田も疑問に思ったのだろう。


 凛は少しサディスト感が強かったが、その分優しい女性だった。


 優しいところが視聴者に伝わると凛の誤解が解けるのだろう。


「あの時と違うってことだな」


 今の凛はアーティファクトだ。


 過去の記憶もないため、それが影響されているのだろう。


 アーティファクトは持ち主の魔力を吸収してスキルが発動する。


 それは元々アーティファクトの能力なのか、それとも持ち主の魔力性質か願望なのかはわからない。


 ただ、俺が手に入れた剣のアーティファクトは魔力が欲しいという願望から生まれた可能性もある。


 ってことは凛は俺が会いたいと願ったことで、ガチャが願望を叶えてくれたのかもしれない。


 それでも凛の性格は俺の願望ではないことだけは言っておこう。


 俺の記憶の中にある凛は多少サディスト感が強かったのは認めるけどな。


「そういえば、オークの睾丸はどうするんだ?」


 花田はダンジョン配信を見て、鞄の中に入っているオークのドロップ品の行方を気にしているのだろう。


「ギルドとしてはそのまま売ってくれると助かるけどな」


 ランキングポイントのことを考えると、資材に変えてポイントにした方が良い。


 ただ、ギルドとしては使い道が多いオークの睾丸は高値で売れる。


 実際にギルドと探索者のお金になるのだ。


 オークの睾丸は有能なホルモン注射やAGA治療に使われている。


 その他、元気がなくなった股間の治療や夜のお供として有名な薬にも入っている。


 ただ、需要が高くても供給が間に合っていないのが現状だ。


 その供給が一気に目の前にあるため、花田も黙っていられないのだろう。


「特にポイントは気にしていないから、ギルドに売るよ」


「ありがとう!」


 花田は俺の手を握って喜んでいた。


 ギルドの資金難もこれで少しは解消されるらしい。


 ひょっとしたら、元気がない俺の息子に必要な時も出てくるかもしれないからな。


 少し高値で買い取ってもらったオークの睾丸は、全て売ると500万近くの利益を得ることができた。


 凛の活躍で一瞬にして結婚式の資金を集めることができたのだ。


 今度こそちゃんと結婚式の資金を貯金して、何年後になるかはわからないが式をあげたいと思う。


 その前にまずは凛にアプローチが必要だろう。


 いまだに俺のことを一緒に住んでいる人ぐらいにしか思っていないはず。


 そもそもこんなおっさんに興味を持ってくれるのかも心配だ。


「せっかくだから美味しい物でも食べに行こうか」


 今日こそ美味しいご飯でも食べに行こうと思ったら、凛はあるところで止まった。


「どうした?」


「今日はガチャしなくてもいいんですか?」


 ここ最近ガチャを控えていたため、凛は気にしていたのだろう。


「無駄遣いは――」


「有馬!」


「はい!」


「今すぐに回しなさい」


 そこまで言われたら男として断るわけにはいかない。


 今はお金もあるから、一回だけガチャをしても問題はないだろう。


 すぐにガチャ配信の準備をする。


「えーっと、ガチャを回します!」


 凛の影響か配信を始めた途端に、たくさんの視聴者が生配信を見にきた。


 きっと女王様の配信を見にきたのだろう。


 俺はガチャ用に残していたオークの睾丸と一万円をガチャにセットする。


「有馬、やりなさい!」


 配信しているからなのか、凛も強気な物言いになっていた。


 俺はガチャのハンドルをくるくる回していく。


 オークの睾丸を素材に使った影響か、いつもより景品口が金色に光輝いている。


 あまりにも輝きすぎて、目を開けることができなかった。

「大変申し訳ないんですが、ガチャを引くには★★★★★が必要で……」


「それじゃあもらえないわよ?」


「ならどうすれば?」


「下僕達、私のために★を課金しなさい?」


 凛はアーティファクトである鞭を振り回した。


「凛がどんどん変わっていく……お前達のせいだからな! レビューも書けよ」


 俺は配信を終えた。

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