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27.おっさん、素手で触る

「凛何してるんだ?」


 俺は凛に声をかけるとホッとした顔をしていた。


 オークに何かされたのだろうか?


「突然気持ち悪いやつらが出てきて追いかけてきたんです」


 そう言いながら、凛はオークに鞭を振るうとオークは声を上げる。


「しかも、さっきより声と鼻息が荒くなってさらに気持ち悪くなるんです」


『ブモォ、ブモオオオオ♡』


 確かに凛の足元にいるオークは嬉しそうに叩かれていた。


 それに他のオーク達も自分の番を待っているのか列になって、順番に並んでいるように感じる。


「そろそろやめて逃げようか」


 俺はオークに近づき、凛の手を取りオークから降りてもらう。


 ただ、そんな簡単に物事はうまくいかない。


 凛の足元にいるオークが俺の足を掴んで離さない。


 並んでいたオークも後ろで怒っている。


 こいつらにとって俺は、女王様を奪う悪役に見えるのだろう。


「すまないな。凛はお前らの女王様じゃなくて、俺の姫様だ」


 俺はそんなオーク達に剣を突きつける。


 オーク達には俺の魔力になって、女王様である凛の命になる。


 やつらにはわからないと思うが、きっと喜んで命を差し出すだろう。


 そんな俺を凛も手伝ってオークを投げ飛ばしてくる。


 何を言っているんだと思うかもしれない。


 ただ、凛が鞭で絡み取ると勢いよくオークがこっちに飛んでくるのだ。


 それも一種のアトラクションのように楽しんでいる。


 オークは典型的なマゾなのかもしれない。


 凛の協力もありオークはすぐに殲滅でき、ドロップ品が大量に落ちていた。


「これってオークの金○ですか?」


 ドロップ品を回収するのか凛は迷っていた。


 周囲に落ちているのは"オークの睾丸"だった。


 オークの睾丸は資材に交換しなくても使える、珍しいドロップ品だ。


 それがそこら中に埋め尽くされるほど落ちている。


 あっ、金○。


 あそこにも金○。


 こっちにも金○。


 って思うぐらいドロップしているのだ。


 オーク達はドロップ品まで、マゾ心が働いていた。


 きっと金○を握りつぶして欲しいと思ったのだろうか。


 考えるだけで、機能しなくなった俺の股間が冷たくなった気がする。


「これがチリも積もれば山となるって意味ですね」


 俺が凛の代わりにドロップ品を集めると、オークの睾丸山ができていた。


 気持ち悪いと思いながらもオークの睾丸を鞄に入れていく。


 ドロップ品は基本的に綺麗な状態で手に入るが、どこか汚く感じた。


 戻ったら鞄を買い替えて、これからは使い捨ての袋を持ってくることにしよう。


「なんか疲れたな」


「女性探索者って大変なんですね」


 凛が戦わず俺一人で戦っているところをダンジョン配信するつもりが、いつのまにか凛の女王様配信になった気がする。


 俺達は次の階層に向かう途中にある移動用ゲートに向かった。


 ダンジョンには入り口に戻るゲートがなぜか置かれている。


 いつできたかはわからないが、初めてダンジョン探索をした時からあると言われている。


 ゲートを通り探索者ギルドに向かうと、なぜかギルドマスターの花田がギルドの前で待っていた。


「おい、有馬!」


「花ちゃんどうしたんだ?」


「お前何のためにダンジョン配信しているだよ!」


「えーっと、不正していないことを伝えるためだけど……?」


「はぁー。お前らの配信が動画配信ランキング一位になっているぞ」


 すぐにスマホを取り出して確認すると、コメント欄には目で追えないぐらいのコメントが溢れてくる。


 そのどれもが凛の女王様についてのことだった。


 ラッキーおっさんのガチャ配信は一瞬にして、女王様のドキドキ調教配信になっていた。

「大変申し訳ないんですが、ガチャを引くには★★★★★が必要で……」


「それじゃあもらえないわよ?」


「ならどうすれば?」


「下僕達、私のために★を課金しなさい?」


 凛はアーティファクトである鞭を振り回した。


「凛がどんどん変わっていく……お前達のせいだからな! レビューも書けよ」


 俺は配信を終えた。

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