#134 : ランダム化比較試験
「皆んな選んだか?行くぞ?せーのっ!」
「2ばーん!」
「ボク4です」
「俺は3だ」
で、俺が1。
「2番アタシでーす!」
「沙埜ちゃん!これは運命だね!」
沙埜ちゃんとリンのペア。セクハラすんなよ!
「よ、4です」
「ふがっ!よ、宜しく!」
柏木と和田ペア。大丈夫かなー?
「3です…」
「美希ティーをエスコート出来るなんて俺は幸せだ」
四ツ谷と元泉のペア。となると…。
「小畠課長。宜しくお願いいたします」
「こ、こちらこそ…」
頼んだクセに言わせて下さい。本当にランダムなんだ!
「この中でダーツ出来る人は?」
意外にも元泉と柏木だった。瑠海と沙埜ちゃんも俺がある程度教えたから大丈夫だろう。とりあえず様子見でカウントアップから始める。
①俺と瑠海ペア : 592
②沙埜ちゃんとリンペア : 370
③元泉と四ツ谷ペア : 491
④和田と柏木ペア : 435
沙埜ちゃんが良い点取るのにリンがダメダメで足を引っ張っている。
元泉は言うだけであって上手いな。フォームも安定しているし、そこそこ投げてたんだろう。
想定外は柏木だ!ブルこそ外れるもダーツが一箇所に集まっている。コレを『グループ』と呼ぶが、3回とも同じ所に投げれるのってスゴいんだぞ!
「肩凝りが無ければもう少し…」
「柏木さんってダーツ上手いね?」
「アミューズメントバーで投げ子のバイトやってました」
そりゃ上手いはずだわ!ガチでやりたいけど負ける気がする!
沙埜ちゃんペアに多めにハンデを付けていざ尋常に!
『テュテュ!』
501を制したのは柏木だ。アレンジも上手いしちゃんとダブルアウトしている。セミプロ並みじゃねーか!
次に俺ら、次に元泉。一番お残しが多かったのは…
「やろーって言った人が一番弱いんですけどー!」
沙埜ちゃんがプンスカしてる。そらそうだ。リンのダーツは的から外れるわ刺ささらないわでノーコンも良いとこだ。
「きょ、今日は調子が悪くて、ね」
しどろもどろなリン。珍しいな。ま、とりあえず。
「いってらっしゃーい!」
「いただきまーす!」
「クソー!皆んな強ぇーよ!」
人数が多いので勝負毎にテキーラとなる。酷いのになると一回投げる毎にテキーラと言うルールもあるからな。
「アレ?さっきより飲みやすい…?」
「マリさんはオレンジだからねぇ」
沙埜ちゃんがオレンジをちゅぱちゅぱしながら答える。か、かわええなぁ。
「…次はどうなさるの?」
瑠海に気づかれたか?負けた人達に伺いましょう。
「リンさんとクリケは自殺行為な気がする!」
「もう大丈夫だよ!ダーツの神様が降りてきたから!」
「ホントぉ?」
「俺はウソを吐いたことがないんだ!」
はい、アウト。俺が神様だったらその一言で地獄行きにしてやる。
「んー、じゃあクリケで!」
負けた順から投げるので、
②沙埜ちゃんとリンペア
③元泉と四ツ谷ペア
①俺と瑠海ペア
④和田と柏木ペア
この順番に更にハンデを付ける。
クリケは陣取りゲームと言われるが、最終的に点数が多い方が勝ちとなる。今回みたいに人数が多い時は得点を取る方にシフトした方が勝ちやすい。
俺はひたすら19を狙う作戦で行く。瑠海も20や18、ブルよりかは狙いやすいだろう。それてしまっても17や16のキャッチが望める。
予想通り柏木が20を、元泉が19を狙うが閉めきれず、次に俺が19をキッチリ頂く。沙埜ちゃんペア?聞かないでやってくれ…。
『テューン!』
またも柏木がブルを閉めて上がる。しかしクリケは点数制だ。結果は…!
「まーたーまーけーたー!」
沙埜ちゃんが半泣きだ。テキーラが嫌いなのでなく、負けたことが悔しいんだろうな。
「ご、ごめんなさーい!」
リンが沙埜ちゃんに土下座する。俺もしたことあるからわかるよ。小さな沙埜ちゃんに土下座…背徳感が否めないよな!
「まだやるー?」
店も三軒目だし、酔いもある。手を上げたのは柏木と沙埜ちゃん、和田だった!
「ボク、何の役にも立てなかったから…」
「小畠さんはアタシとね!」
先程とは打って変わって安心し切った顔つきではにかんでいる。うむ。可愛いぞ!
『テューン!』
まさか!まさか俺が負けるだと⁉︎いくら柏木が上手いとは言えセカンドは和田だ、ほぼ役に立ってないのに!
「おーばーたーさーん!」
「す、すいませんでしたー!」
俺も土下座する。なりふり構ってられるか。
「課長を土下座させるだと⁉︎」
リンと元泉が沙埜ちゃんに対して引き始めている。俺の威厳も引き際のようだ。
「いってきまーす!」
このくらいなら余裕のよっちゃん。前回は瑠海共々潰されかけたけどね!
「リベンジ!今日一回も勝ってない!」
ヤバい。駄々っ子沙埜ちゃんが発動だ。
『テューン!』
柏木ー!空気読めー!
「もうイヤー!」
俺ももう土下座したくないよう!
「フンだ!小畠さんなんてキライ!」
冗談だとしても寂しいなぁ。それにしても柏木の上手いこと。人は見かけに寄らないって本当だな。