#129 : ラウンド・ツー!!
ヤマさんの方が年上だが、大宮は本部長、それなりの応対をしている。社交辞令ってヤツも飛び交う。時代を感じるなぁー。
俺も年を認識して実感もしてるが、ヤマさん達を見てるとまだ若いのかも…?いやいや、基準値が変われば扱いも変わる。調子に乗るな。
林原と元泉が対面に居るのはウケるな。チャラ男決定戦の火蓋が切られた!って感じ。元泉は一課の女性メンバーと絡みたそうだが、リンが行手を阻む。よしよし、ブロックは頼むぞ。
それに比べて国枝と小室、長野と吉岡は会話が一つも無い。酒も進んで無い。ここだけ喋ってはいけない焼き鳥屋なのか?ケツバットでもされるんか?
「はぁーい皆さん、コンプラにうるさい小畠さんがアルハラしにきましたよー」
こう言う席では俺はバカになれる。笑いのためなら下ネタもかますが、ウケた試しは一度も無い。
「課長の下ネタは笑えないんですよ。生々しくて。加減を知らない」
うぐっ。言われてみるとリアルかもしれない。ムッツリのクニに言われるのだから本当なのだろうな。
「まぁまぁ硬いことはヌキヌキ!ささっ!」
「カタいのをヌキヌキ⁉︎」
「そこ!反応しない!」
まだ飲み始めなのに井出が過剰反応する。経産婦は違うぜ…!
ってことは、麻生もそうなのか⁉︎横目でバレないようにチラ見したが、横山”お姉さん”とお話して聞こえなかったようだ。ふう。お姉さんと言っても俺の一つ上だけど。
柏木を中心に女子グループが形成される。大沢と神谷と瑠海は適当に相槌を打つだけだ。このままだとここもケツバットになってしまう。アレコレ世話を焼いている四ツ谷を席に戻すか。
「四ツ谷さん、業務命令!」
「はい!日本酒でしょうか⁉︎」
日本酒と言うワードに瑠海がピクリと反応した。地獄耳だな。
「自分の席に戻って飲みなさい!」
「で、でも…」
「後は勝手にやるから!飲む時は飲む!」
「はい!かしこまりました!あ、でもティフィン置いて無いんだった…」
「あれ?来た事あるんだ?」
「さささ先ほどメニューと店員さんに確認しまして!」
ティフィンと言うワードに瑠海が二度目の反応を見せる。マズい。和田もチラ見してたけどアイツ下戸なのにレアな酒を知ってるなー?
「課長だけ侍らせて汚ぇー!」
リンが堪え切れず席を移動してきた。大沢と四ツ谷の間に無理矢理入り込む。必然的に瑠海の右側に押しやられ、俺の右手側には四ツ谷が詰める。
「おつかれーしょーん!」
訳のわからない乾杯をする。両手に花なのは嬉しいが形容し難い息苦しさがある。
「小畠課長は日本酒の方がよろしかったですか?お付き合いいたしますよ」
ビールをクイっと開けて挑発的に俺を見る。四ツ谷への当てつけだな!四ツ谷は純粋だから俺の事を考えて発言してくれたのになぁ。なんかごめん。
「江口さんと話したことないですよね?」
「課が違いますもの」
「売り先は違うけど仕事は同じ!何か困り事とか無いですか?」
「ありがとうございます。小畠課長からも色々とご指導いただいておりまして」
吹き出そうになったビールをガマンしたら鼻から出そうになった。痛ぇ!この場でなんてこと言うんだよ!
「そ、そうなんだ。美希ティーは?」
「私も毎週小畠課長に研修して頂いておりますので」
またもや鼻から出そうになる。花粉症には良いのかもだけど鼻の奥が痛いよ!
「何か楽しそうじゃん?」
元泉まで来やがった。神谷と瑠海の間に入り込む。元泉はキザったらしいタイプのヤツだ。ガイアが俺に瞬けと囁いているとか何とか素で語れるヤツ。
「江口さんって良い香りだね。何の香水?」
「特に拘りはありませんの」
ウソつけ。ルームフレグランスすら同じメーカーだろう。
「美希ティーは?」
「わ、私はファジー・ネーブルです。お食事の席で香りが強かったでしょうか?」
「可憐な容姿に相まってとても芳醇な香りだよ」
うげぇ。コイツ絶対ぇナルシストだ。
「俺の香水はフェロモンだよ〜ん!」
特攻隊長のリンが空気を変える。良くやった!
「小畠課長のお好みを伺っても?」
瑠海の手は休まらない。もう四ツ谷を意識しないって言ったじゃんかー!
「俺は…その人に似合ってる香りが好きだなあ」
何と言うヘタレでしょう!匠も裸足で逃げ出す始末です!
「小畠課長はお上手なのですね?冷ですか?」
「あ、ああ。ありがとうございます」
瑠海が勝負を仕掛けてきた!なお君の店で四ツ谷が日本酒を飲めないのを知ってて頼んだな!敵に回したら怖いタイプや…。四ツ谷はカシス・ウーロン。相変わらず可愛いのを飲んでるな。ビールなんてまだ飲めないだろうなあ。