7ワン あっと言う間の一週間
「それカボ、パプリ!296!297!298!299!300。バーベル上げも一時休憩よ。」
「はぁ…はぁ…本当にこんなことをして基本能力値が上がるんでしょうか?」
パプリも不安がっている。
本来なら運動し栄養を取り筋肉を休め、成長させなければならない。
だが、私には強制的に筋力を休める回復魔法ヒールがあるのだった。
「ヒール!これで疲れもブッ飛んだだろう。さっきまであった腕や腰足先までの鈍い疲労もぶっ飛んだはずだわ。」
「疲れはぶっ飛んだんだけど、飽きてくる。たまには槍とかの、訓練…」
「まだよ!このバーベルをこうできるようになりなさあい。」
そう言うとさっきまでカボ達が重そうにしていたバーベルを小指一本で一瞬で100回くらい上げ下げするのであった。
「バーベルはまだ重く出来るから、基礎体力を上げるのには限界がないってのを覚えておくように」
「「へ〜い」」
二人から何とも元気ないの返事が返って来た為、バーベルの量を少し重くしてきたのであった。
後の二匹はと言うと、広い訓練所内でポチとタマで疲れるまで追いかけっ子をしてもらっていた。
今見ると疲れたみたいで、水を飲んでいる所であった。
「あんた達にもヒール!どう走るってのもたまにはいいんじゃない?」
「コボルが追っかけてくる必死さにこっちも必死ニャ!」
「全力で走らないとタマ姉御早くてつかまんないワン。」
最終的にお互いの姿が捉えられなくなるまで走り込みを続ける予定である。
速さMAX修行。猫じゃらしでの戦闘訓練や、お手、おかわりで大地を砕けるくらいにはなるはず。
初日からヒールのかけまくりの、朝昼晩のサプリメントとプロテイン攻め、ササミはゴールドラゴンのササミと奮発してみたが、二人からでるオーラはまるでゾンビ。
ゴールドラゴンなんて幻のお肉って言われてるのに!
晩飯時ゾンビのように呻きながらご飯を食べる様は恐怖でしかなかったわ…。
寝る前にはもう別人な顔で私を見ていたよ…。
いつも寝る時引っ付いてくるタマとコボルも今日は引っ付いてくれなかった…。
やはり私基準が駄目だったのだろうか…。
弟子も今まで取ったことあるが、皆ゾンビの様な面に一週間はなってたな。
一週間超えれば、凛々しくなっていくに…違いないと思いたい。
★★★★★
一週間後、カボ、パプリは想定以上のバーベルを軽々上げ下げし、庭にある大きな石も担ぎ上げ私にアピールしていた。
「師匠、基礎体力はもう付いたんで、槍の練習をしたいです。」
「私も魔法使いなんだけど、基礎体力いるのか?って最初思ってましたが、あって困らない物ではない。むしろ筋肉こそ最強のコミュニケーションだと今では思う様になりました。
しかしそろそろ魔法を覚えてみたいです。」
「レジェ見てワン(ニャン)」
「おっ、俺の目には二匹が捉えきれねぇ。師匠コボルとタマもすっげぇよ。」
私の目には二匹が映っていたが、カボ達には見えない速さであったのが伺える。
まさか一週間でここまで伸びるとは…。
「合格OKってことにしましょうかね。基本値は大事なのよ。レベルアップ時基本値を参照してレベルが上がるからなの。
今からは、また別の修行をして別の基本値を上げていくとしましょうか。ここからが踏ん張り所よ。
私一人じゃ足りないから、私を4等分してみんな個別にマンツーマン教育していくとしようかしら。」
「師匠を4等分って冗談でも無理ですよ。相変わらず無茶苦茶ですね。」
パプリがまた無茶苦茶扱いしてくるが、そこは私を見くびらないで貰いたい。
「自分の力を等分にし人数を分けるスキルがあるのよ。
分身ってまんまだけどね。」
そして分身を、作り出す。
「「「「それでは始めるとしましょうか。」」」」
「師匠、人間やめてる…自分も師匠にいつかおいつけるのか不安です。」
カボが真剣な声で話す姿は、私に畏怖を抱いたのだろうか?
「いつか、頂点を目指す時は追いつけるかもしれないわね。
ただ、私も更に頂点を目指してるから私に追いつくにはまたまだ修行が必要ね。」
「自分、がんばります。まずはチュウオウ城下町に集まっている強者達に負けないくらい強くなりたいッス。」
カボのやる気に満ちた眼、いい目をしている。
「それじゃ、私1はカボに槍の使い方、私2は魔術師としての稽古をパプリに、私3はたまに猫じゃらし殺法の指南を、私4はコボルにお手、おかわりの指導と言う動きで行かせていただくとするわね。」
そう言うと4組に、別れ修行を始めるのであった。