5ワン 新しい仲間達
「モンスターの発生とモンスターの王に押され気味なのだよ。」
キョジャの守衛にこの世界のことを軽く聞くとそう言うことであった。
「…ふむふむなるほどね」
レジェは考えていた。
モンスターのイマイチっぷりに、低い街の発展率、低い人口の密度、匂わせる敵の存在に。
「出来てそこまで時代が経っていない世界だと考えるのが妥当か。人類の敵を神が成長の為作り出したか或いは発生したのかはわからないが、まだまだ発展途上な世界。
私が解決すれば簡単だろうが刺激が与えられず、一時は平行線のまま世界は続いていくだろうね。自分が解決するのは駄目だけど、助け舟として支援するのが良いみたいね。」
「あんた、さっきから一人でなにブツブツ言ってんだい。まあ、ここいらはモンスターも弱いからのんびり暮らしやすいんでさぁ。
あんたは、城下町から来たのかい?。
あっちは街の外はバケモンだらけで城下町には強者ばかり集まってると聞く。あんたも強者の格好が見て良く解る。
城下町ではモンスターの王の下僕等の討伐隊を結成してると聞く。あこがれるよな、小さな村で戦うだけの守衛としてはさ。」
守衛に見抜く辞典を発動してみる。
名前 ハラペリー·トマト
男 38歳 レベル15 職業 守衛
HP 180 MP 15
力 75
魔 15
体 75
速 60
特技 一文字突き なぎ払い
装備
アイアンランス
守衛のフルアーマー
今回は寿命ではなく細かい所と特技、装備をチェックしてみた。
駄目だ、わかっていたことだがここから育てるには歳を取りすぎている。
「この街で冒険者やその強者に憧れてる奴等っていないかしら?」
「俺の息子と幼馴染の娘が志願して城下町…チュウオウに行きたがっているが、いかんせんまだまだな実力不足。
あいつらには悪いが、息子も俺の跡を継ぎ守衛している方が性にあってると思うんだ。」
「その二人、私が稽古をつけてあげるわ。丁度都合良くタマとコボルを育てる予定なの。まあ、私の横にいる二匹なんだけど。」
タマとコボルを見つめるレジェ。
こっち見んなと思う二匹であった。
「その二匹幻獣か魔獣の類かい?
まあ、いきなり会ったばかりのあんたにはいそうですかと預ける程俺もまだあんたを信用しちゃいない。そうだな、あんたの腕前を見せちゃくれまいか?」
「そんな簡単なことでいいの?5分程時間を頂けるかしら?」
そう言うと街の外へ走り出すレジェ。
二匹はトマトの横へ置き去りであった。
5分後レジェは帰って来た。
山の様な量のモンスターの死骸を大きなボールな様にして転がして。
「ひえっ…まさかここまでやるお方だとは存じませんでした。ぜっ…ぜひ、家の息子達に稽古を付けていただけたら幸いだ…」
死骸ボールを持って来たらまばらだが人集りが出来た。
さすがにやりすぎたかとレジェも少しばかり反省した。
「さすがにあの量は邪魔だな。
みなさーんその死骸ボールから離れて下さい、消去っ!」
一瞬にして圧縮され、消え去る肉玉。
人集りも肉玉がなくなったと同時に帰りだした。
…がそこに残る二人がいた。
「「僕を(私を)弟子にして下さい」」
「こいつらがさっき言った俺の息子カボとその幼馴染パプリだ。
カボ、パプリ安心しな。すでに稽古を付けてくれる話になっている。あんたの名前聞いてなかったな。教えてくれ。」
「全ての頂点を目指す女!レジェ·オールラウンドとは私のことよ。カボ、パプリって言ったわね。あなた達はこの世界の頂点を目指すのよ。」
この発展途上なこの世界への刺激物を投入することをレジェは考えていた。
この二人をこの平行線な世界の刺激物へ成長させる。
そしてタマ、コボル共に成長させる。
これがこの世界での自分に課した試練であった。