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<第6話> 夢見の悪い夜 そして、
その夜、モノクロの夢を見た。
真夜中の大きな幹線道路。
見えるのは、高速で行きかう車のヘッドライトだけ。
聞こえるのは、せわしなく吐き出される車の排気音だけ。
”ブォーン”
”ブゥーン”、
”キィーッ”、
”ドンッ”。
『い、痛い、痛い、ニャン。』
『お腹と、後ろ脚が……、い、痛い、痛い、ニャン。』
『で、でも、きっと、大丈夫ニャン。』
『み、みんなに、抱っこ、して、もらえば……、きっと……、大丈夫……、ニャン……。』
”タマ”は大好きなみんなに囲まれている楽しい夢を見ながら……。
「わぁー! ハッッ、ハッッ、ッハゥーッ……。」
(”タマ”……、そうだったんだ、……そんな、そんな最後だったんだ、……。)
飛び起きた拍子にかけ布団はベッドの下に落ちていた。
深夜の暗い室内に、独り鼻をすする音だけがしばらく続いていた……。
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