序章2
校長室の前にくると、ドアを2回ノックした。
「入りなさい」
中からは中年男性の低音の声がした。
「なんの用ですか?校長先生。また、父のことですか」
彼はうんざりしたような声で話す。
「その通りだ。君の父がまた罪を犯したようだ。被害者はある雑誌の記者だ。記者の態度が気に入らなかったのか射殺したらしい」
「そんな理由か。ったく、ただの犯罪者じゃないか。何度殺したら気が済むんだ」
僕はあきれるしかなかった。
「こんな話からすまないね」
「いえ、校長は何も悪くないです。悪いのは全て僕の父です」
「その話は終わりだ。今日はな、私の娘が賞を取ったらしいんだ。入賞らしいんだがおめでたいことだろう。それで、祝ってやろうと思っているんだ。答えは想像つくが一応誘っておこう」
「君も、一緒に来てくれるか?」
「何言っているんですか?一緒に行くわけないでしょう。校長の娘さんの祝いになんて参加できないです。親子水入らずで楽しんで下さい」
「まあ君ならそう言うな。失礼した。そうゆうわけだから今日は帰りは遅くなってしまうな」
「心配しないでいいですよ。家にはトムもいますから。こうゆうのは慣れてます」
「少ないんだが、せめてこれだけは渡しておく」
校長は財布から3枚抜き取ると、彼に渡した。
「今回のお詫びだ。好きな物でもこれで買ってくれ」
「ありがとうございます。買いたいものは特にないので、貯金でもしておきます」
僕は、頭を下げてから校長室を後にした。するとベルが鳴った。白い壁にかけられていた時計を確認すると、ちょうど15分を指していた。始業開始のベルのようだ。
人目につかないように移動したいので2,3分そこでゆっくりしてから移動をする。目指す場所は図書室にある自習室だ。
自習室は個室になっているので身をひそめるにはもってこいだ。しかもソファまで付いているので休むこともできる。ソファがなぜあるかと言うと校長先生が僕のために用意してくれたのだ。
その上鍵も閉めることができるので実質僕の部屋だ。本はもちろん生活に必要なものは全てそろっているので、キッチンさえ付けてくれれば住むこともできる。そこで最初にすることはごはんを食べること。そうすれば早起きをしてくる必要はなくなるので気分は楽だった。