5話
「かわいいです!」
目を輝かせ嬉しそうにしている悠斗は黒髪を肩あたりで結び右側に下ろしている。
落ち着いた雰囲気が前見た時よりキレイ。
俺も慌てて「かわいいです!」と強調して言った。
陰キャクラブのみんなは照れてモジモジしている。
まぁ、俺もスカート履いてるけどしかもミニスカ。
「氷くん、かわいいよ。」
俺のロングヘアを耳にかけながら子奈はフッと微笑む。
「あ、ありがとう」
久々の男装子奈に胸がドキンとしたし、さらに髪になんの躊躇もなく触って心臓が止まりそう。
腰が抜け…。
ドサッ
倒れたかと思い顔をあげると子奈の顔がキスできるほどに近かった。
「こ、子奈…?」
「うわぁ!?」
急に我に返ったのか慌てだし俺の下から手が抜けた。
そのまま地面に頭を打ちつけるっ。
そう思ってたのに
ポスッ
再び守られた…んっ?
頭の下に手があるのはわかる。
それに唇がなにかに。
目を開けると子奈の驚きの表情と赤い頬が見えた。
離れるのが名残惜しい、離れたくない。
俺はもっと…
「ご、ごごごごごめん!」
俺からサッと離れると部屋から出てってしまった。
俺も上半身を起き上がらせこの空気に耐えられず部屋を飛び出しそのまま家に帰ってきた。
「お兄ちゃ…、ママ、お姉ちゃん」
「えっ、何言ってるの海?えっ?」
まぁ、その反応も分かるよ。
だって今俺女装してるから。
顔を隠したまま2階にいき鏡に映る自分の姿を見た。
こんなに女の子みたい。
「ってダメだろ!」
やべぇ、子奈のかっこよさに女の子になっちまうとこだった。
しかも、みんな置いてきてしまった。
部長としてどうなんだと葛藤しながら眠りについてしまった。
次の日。
俺はしょんぼりとした気持ちで学校に向かった。
教室に入り「おはよう」と声をかけると子奈は控え気味に「おはよう」と言う。
すると悠斗と心がすごい形相で近づいて来る。
「な、なに?」
「それがねそれがね」
「俺が説明する」
そういうと心は昨日の出来事を1から説明してくれた。
俺が帰ってしまった後、陰キャクラブのみんなは女装にハマったらしい。
それも俺たちが褒めてくれたから。
それで、陰キャクラブ改め女装クラブを立ち上げ自分を変えたいという人達のための活動をすることになったらしい。
心のボランティア部もいい案だと思ったが先生たちも陰キャクラブよりまだということだし早速入部希望者改め夕達が入部したらしい。
あの二人の問題はまだ解決していないがそれも時間の問題だな。
悠斗や心が解決するだろう。
あとは俺の問題だな。