6話
追いかけたはいいものの、気がしただけで特に内容はなかった。
「どうしたの...。うっ、はぁ」
少し苦しげな顔でこっちを向いて話した瞬間胸を抑えしゃがみ込んだ。
「どうしたんだ。ゆまり?落ち着け落ち着け!えっと、先生呼ばないとそれとも病院に連れてく?」
そう言ってる間にもゆまりの顔色、息遣いが悪くなっていく。
先生は待てない病院に行こう!
ゆまりを背負い近場の病院に入った。
「すみません、ゆまりが胸を抑えて苦しそうでどうすればいいですか!」
入った瞬間に言いたいことをすべて言った。
受付の人は少し困惑したがすぐに状況を理解し、休憩中の医師を呼んでくれた。
「この子です。先生、この子は...。」
「そうだな。すぐに診察室のベットに、君は外で待っていてくれるか」
「は、はい」
それから30分が経ちやっとドアが開く。
「先生、ゆまりは?」
「大丈夫だ。今は落ち着いている。」
「ゆまりは心臓が悪いんですか?」
胸を抑えて苦しむ姿が頭に蘇る。
今までで見ていた中で見たことない姿。
「この子はPTSDで狭心症も引き起こしてる。」
「えっ...。」
PTSDは聞いたことはあるがこんなふうに誰かが苦しんでいるところを見たことは無かったから実感はなかったがさらに狭心症?
「具体的にはどうゆうことですか?」
「PTSDはわかると思うが、狭心症は何らかの強い精神的ショックで心臓の筋肉に酸素の供給が不足し胸部に一時的な痛みや圧迫感が起こる病気だ。」
「そんな...。」
知らなかったことが一気に押し寄せてきてそれ以上言葉は出なかった。
ドアを開き待合室に行く途中に先生が言った。
「落ち着いたら帰れるから少し待っててくれるか?親御さんに連絡も入れといてな」
椅子に座るとすぐに電話をかけた。
「もしもし、氷帰りはいつなの?」
いつも通りのお母さんがいつものトーンで話してくる。
「もう少しかかるから、先にご飯食べてて。」
それだけ言うと電話を切った。
1時間後。
ドアからゆまりが出てきた。
「大丈夫なのかよ!」
「うん、大丈夫。帰るね。」
「俺が送ってくよ!」
目の前を通り過ぎながら言うゆまりの腕を掴み言った。
病気のことは聞かないようにした。
「本当に大丈夫だから。氷くんだって親が心配してるんだから。じゃあまた。」
「あ、おい、ゆまり!」
いつものゆまりの表情じゃなかった。
いつもの笑顔がなく下を向き目には涙を流したあとがあった。
本当は送って行きたい。でも、人には触れてほしくないこともあるもんだ。
俺は、ゆまりがいなくなってからすぐに自分の家に向かった。
空が真っ暗な中、歩く足取りは重かった。ゆまりをおぶったからとかではなく、気持ち的なものだと思う。
「俺って、誰かの役に立てるのか。あの時のようにはならないように...。」
家に着くと20時をとっくに過ぎていたのにおかんが温かいご飯を出してくれた。
「今日のご飯はコロッケよ。美味しいからしっかり味わいなさいね!」
表情に出てたのかその後何も聞いてこなかった。
いつも通りお風呂、歯磨きを済ませ自分の部屋に駆け込むとベットに横になり考えた。
〖この席替えってなにかのチャンスなのか?〗
真っ白な天井を見上げ呟いた。