6話
俺がこんなんで申し訳ないな。
部長なのに、みんなの足を引っ張って…。
俺はどうしたら
「氷くん!外周辛かったよー」
「…」
何も言えずに黙っていると悠斗に顔を覗きこまれた。
俺は頭の中を切り替えて明るい顔で話しかける。
「そうか、走れなくて良かったかもなー」
悠斗は少し複雑そうな顔をしていたが
「ほんと、いいなー」
と言って去った。
どうにか立ち上がり発声練習に移った。
もうそろそろだと思うとまた腹が…。
「すみません、トイレ行ってきます」
「僕も行っていいですか?」
「僕も」「私も」
「そうだなじゃあ、全員行っとくか!」
勇気先輩がそう言いみんなで和気あいあいとトイレに向かった。
ギュルルギュル
みんながトイレから出ていく中俺はトイレから離れられない。
立とうとすると出そうになるでも出ない。
腹はずっと痛いし…
ボソボソッ
隣から声が聞こえる。
おしりはそのままに声の聞こえる左側に耳をすます。
「僕がミスしたら、これまでの練習は全部…」
心の声だ。
心も不安なんだ。声も震えてるし俺だけじゃないよな。
「ヤダ、怖い。怖い。全部壊れちゃうのが…」
「…心、大丈夫。俺もこんなんだから」
「氷くん、ぐずっずっ、ごめんね僕。」
幼くなってる。
「大丈夫!俺も頑張るからみんなも頑張ってるし練習や努力は裏切らない!」
俺はお腹の痛みが消えおしりをふきトイレから出て心のトイレの前に立った。
傍から見るとちょっとやばいかもな。
「心、そろそろだから出てきて」
「でも…、しょうがない俺の番ではなさそうだが悪いな心。」
ゆっくりとトイレの扉が開く。
「心…ごめんなほんとに出番が、くそっ仕方ない。」
トイレの入口から悠斗が俺たちを呼んだ。
「もうすぐだから急いで!」
俺たちは手を洗い悠斗と一緒に先輩たちと合流しひと呼吸おくとすぐに出番が来た。
…高校。
部長がマイクで今回の歌を紹介し横に並ぶ。
部長の指揮で歌い始める。
「…君の声が聞こえる♪」
この一言から始まる。
君(彼女)との出会いでひろがったこの気持ちずっとそばにいたいそう思わせた。
この気持ちが全部歌詞に入りメロディも切なかったり嬉しいと弾むようだったり男の子の気持ちが自分の気持ちと重なるようだ。
「ありがとうございました!続いては…」
俺たちはゆっくりはけていった。
みんな緊張した面持ちで控え室に戻って行った。