4話
「そういうんだったら依頼者の前じゃなくて部室戻ってからにしろよ」
「だって」
「だってじゃない!」
2人してコソコソと話した。
俺はオカンみたいだな。
「じゃあ、発声始めてもいいか?」
「はい!」
俺が返事をし悠斗と子奈を立たせる。
悠斗の時はなんとも思わなかったが子奈を立たせる時心臓の鼓動が早く動く。
子奈の赤い顔を見て俺も顔が熱くなっていく。
「あっ、手ごめん。」
「あ、いや、立たせてくれてありがとう。」
そんな俺たちを見て勇気先輩が悠斗の横に立ちコソコソと話している。
「…は…のこと…きなのか?」
「はい、…めたくないけど、…です。」
2人の言ってることは聞き取れなかった。
だが、子奈がさらに顔が赤くなっている。
――――――――――
「氷くんは子奈ちゃんのことを好きなのか?」
「はい、認めたくないけど、そうです。」
僕と勇気先輩の会話が気になるのかずっと氷くんが見てくる。
子奈ちゃんは僕らの会話が聞こえたのかさらに顔を赤くした。
子奈ちゃんいいなー、ってちょっと嫉妬する。
――――――――――
発声が始まった。
最初は三音でドレミを徐々に上がっていき「よ」と言う。
次は五音で「いまやまに」と言う。
スタッカートと一通り終わるといよいよ歌に入る。
「じゃあ、これが楽譜だ」
配られた楽譜を見ると今まで見てきた合唱の楽譜より黒かった。
「くっろ!」
「ん?氷くんどうしたの?」
「いや、なんか音符が多くて」
「ああ、たしかにな。我々は1人1パートだからな。」
「そうでした。すみません。」
「じゃあ、別れてやって」
「「「はい!」」」
先輩たちに続き別れる。
ソプラノの悠斗は忍さんと幸さんと一緒に練習していた。
悠斗の高い声はしっかり通りとても綺麗だった。
アルトの子奈と心は鈴音さんと勇気先輩が教えていた。
心は相変わらずキレイな声をしている。聞き惚れそう。
子奈はどんな感じだろう。
「〜朝日がー」
めっちゃかわいい。声そのままでかわいいやば、子奈とカラオケに行ったらなんて考えてしまう。
「氷くん、君の番だ。」
「は、はい!」
思ったより大きな声が出てみんなが俺を見る恥ずかしい。
「氷くん、大丈夫だ。じゃあ、やろう。」
気を取り直して音を弾いてもらい覚えるところから始めた。
「~朝日」
「おお、いいではないか」
「ありがとうございます!」
初日はこんな感じでそれが1ヶ月続いた。
本番の前日最終確認。
並び順は俺、部長、心、鈴音さん、子奈、幸さん、悠斗、忍さん。
最初の頃に比べてキレイに歌えるようになった!
この人たちの役に立つ!
確認が終わって解決部で帰りながら話していた。