5話
それから俺は左手を見つめニヤニヤする日々を送っていた。
「氷、顔やばいわよ」
「えっ?あ、なんだよ!うるせぇな。いいだろ別に」
「あ、わかった!恋ね。お母さん聞きたいー!」
「うるさいな!ちげーよ!」
「あー、つまんない。」
俺は自分の部屋にこもった。
その時手にしていたスマホにメールが届いていた。
"大晦日の日にみんなでお泊まり会するみたいなんだけどどう?"
"行く!"
携帯を胸の上で握りしめ嬉しさを噛み締めていた。
大晦日当日。
みんな大荷物で秀の家に来た。
「お泊まり会楽しもうね!」
メイド服の秀が両手をグッと握って笑った。
俺の横にいた夕は胸を押さえながらグッといい、秀を引きずり中に入ってしまった。
「おい、夕!」
俺たちは使用人さんに連れられ秀の部屋に先に入った。
「あの2人どこいったんだろうね?」
「子奈、気にしなくていいと思うぞ。」
「お泊まり会楽しみだね!」
「僕、昨日から寝れなかった!」
心と悠斗はお泊まり会にワクワクしているみたいだ。
「お泊まりとか初めてなのか?」
「僕初めて!」
「僕も」
「私もだよ!」
「まぁ、俺もなんだが」
「じゃあ、みんな初めてだね!」
ニコッと笑う子奈の顔をあまりみれなかった。
顔に出てないよな…。
「ごめんな、待たせて!」
にっこにこで入ってくる夕と
「はぁ、ご、ごめんね、みんな…」
なんかあったと思わせる秀。
みんなの顔は赤く染る。
「えっと、これから何する?トランプ?」
すぐ話題を変えたが夕が秀を抱き寄せ、
「俺たちは恋人の時間を過ごすから好きにしてな」
秀は夕に見惚れながら頷き去っていった。
俺たちはポカンとした。
まぁ、ナニやるのかは想像つくけど…。
いや、考えるな!
「トランプ何が出来る?」
「僕はババ抜きできるよ!」
「私もそれで!」
「ごめん、僕はやったことがないから3人でやっていいよ」
心は寂しそうな顔をしながら無理やり笑っていた。
「心、じゃあルール説明するから4人でやろう!」
「いいの?」
「こういうのは多い方が楽しいよ!」
「僕もいつも負けるから自信ないよ、でもゲームだから楽しまなくちゃ!」
「ほら、2人もそう言ってるしやろうぜ!」
俺たちはルール説明をした。
心は頷きながら目を輝かせていた。
初めては楽しくなくちゃな!
俺がみんなにカードを配りそれぞれ手札を整えてると悠斗が、
「げっ!」
あからさまに表情に出ていた。
「あ、悠斗。お前持ってるだろ!」
ニヤニヤしながら聞くと悠斗は首を振り、
「ち、ち、違うよ!気のせいじゃないかな」
挙動不審な態度。
これは面白いゲームになるな!




