4話
「子奈、その手袋似合ってるぞ!」
「ありがとう、氷くんにそのマフラーが当たって私も嬉しい!」
「まぁ、交換してもらったんだけど。」
「そうだね。でも、クリスマスに氷くん達と過ごせて嬉しかった!」
へっくしゅん
俺がくしゃみをすると子奈が笑顔から心配そうな顔になり覗いてきた。
俺は鼻水が垂れてないか不安で鼻近くを手で隠した。
「氷くん、はい!」
子奈が俺の鼻近くにティッシュを持ってきてくれた。
俺は片手でティッシュを受け取ると見えないように鼻をかんだ。
「今日は寒いもんね」
子奈が気を使ってかそう言った。
「おう、そうだな。ティッシュありがと。」
ティッシュを子奈に返すと子奈は俺の手を取った。
「氷くん、手が冷たいよ!風邪ひいちゃう。」
右手の手袋を外し、俺に貸してくれた。
「ありがと、でもそれじゃ子奈が寒くなるんじゃ。」
次の瞬間、俺の左手に温もりがきた。
ばっと子奈の方を向くと俺から顔を逸らしていた。
「あ、えっと、うん。」
言葉が見つからない。なんていえば、この状況。子奈の手が小さくてかわいい。
2人して黙り込んだ。
その沈黙でさえ俺は嬉しかった。
横に子奈がいて手を繋いでいる。それだけで俺は。
「こ、氷くん!」
「ひゃい!!」
急に名前を呼ばれ思いっきり声が裏返った。
「氷くん、ふふふ。言おうと思ってたこと飛んでっちゃったよ!」
「ご、ごめん。」
「いや、大丈夫だよ!」
「えっと、お正月に待た遊ぶからその時楽しみにしとくな!」
「うん!」
子奈の家まで送り、手が離れた。
「またね!」
「おう!」
名残惜しく左手を見ながら嬉しさに満ち溢れていた。