8話
病院から家に帰った。
あの状態の悠斗を置いてきてしまったのはダメだったかもしれない。
でも、俺はあいつらを見つけ出す方を優先する。
自分の家に帰る途中で垣上、木内、工藤が悠斗の話をしていた。
「悠斗めっちゃかわいかったなー。」
「震えたんはびっくりしたけどな!」
「やっぱりいじめがいがあるわー」
ふつふつと怒りが燃え上がる。
拳を握りしめ、殴らないように必死に耐えた、そして口を開く。
「おい、待てよ」
「なんだよって、あれ?」
「えっ、誰だっけ?」
「あ、あれだ!正義感だ!」
「俺にはちゃんと名前がある、宮城氷だ。」
「へぇー、氷ってあの氷?」
「ジュース冷やしてくれよ氷くん」
「ははは、やめろよ。こいつ怒るぞ、ははは」
「ふざけんなっ!」
俺は流石にこの怒りには耐えられなかった。
垣上の左頬をぶん殴った。
「何すんだよテメェ!」
殴られた垣上は頬を押さえ座り込んでいる。
木内と工藤が俺を殴りに来た。
「カッキーに何してくれてんだ!テメェ」
「カッキーってあだ名ダサっ」
俺は木内を煽る。
頭に血が上った木内は俺を押し倒す。
元サッカー部の俺はさらりとかわした。
工藤は俺を殴ることなく2人の腕を掴みこの場から去っていった。
俺はやるせない気持ちが湧き上がる。
3人の後を追っていった。
垣上と木内は2人で話しながら工藤は2人の後ろで俯きながら歩いていた。
だ、か、らー
こっそり先回りをして曲がり角で工藤を誘拐しました〜!
「おい、お前。なんで俺を殴らなかった」
「…殴る気分じゃなかったんだよ」
「なんか、隠してる?」
「別に、ってか話しかけんなよ」
「いいんだー、お前もう1人だろ」
肩をビクッとさせてこっちを凝視してきた。
「は、はぁ?なんのことだよ!」
こいつ昔のことは許せないがなんか面白いな。
「まぁ、ケンカ止めてくれてありがとな」
「俺、一応お前の先輩なんだから敬語使え」
「いやー、いじめっ子には敬語いらないだろ。」
「わかった、お前には話すから誰にも言うなよ…」
そういうと急に顔を赤くした。