6話
氷くんが心くんの後を追いかけてしまった。
「えっと、子奈ちゃん家まで送るよ」
子奈ちゃんは心配そうにこちらを見てくる。
「心くん大丈夫かな?」
僕はそれより氷くんが心くんを追ったことが気になった。
「心くんってなんかいつも隠してる気がするんだよ私。」
子奈ちゃんの家に向かいながら言ってくる。
僕はそんなに気にしていなかった。
「なにかあるのかな?」
「私はわからないな。」
「そっか」
子奈ちゃんの家に着きさよならした後に氷くんが走っていったところに向かった。
そして曲がり角で2人を目で捉えた。
氷くんは真剣に心は悲しそうな顔でそれでも僕は言葉を止められず声をかけてしまった。
「えっと、氷くんと子n」
「氷くん、子奈ちゃん送ってきたよ。」
タイミング悪く来てしまったと思う。
「じゃあね、氷くん。」
悲しそうな顔に涙を浮かべながらゆっくりと帰ってしまった。
氷くんはその場で固まって動かなかった。
「氷くん!何があったか分からないけど心くんをこのまま返していいの?」
氷くんはこっちにゆっくりと振り向いた。
そのまま、気合いを入れてまた走り出て行った。
僕にはこれくらいしか出来ないからね。
氷くんの背中に向けて手を振った。
その後はとぼとぼと自分の家に帰るだけ。
僕のこともちゃんと見てよ。
わかってよ。
そんなことはやはり言えないみたい。
「はぁ、えっ?」
目の前に黒い影が3つ。
自分よりもはるかに身長が高い。
待ってもしかして小学生の時の…。
垣上、木内、工藤。(かきうえ、きうち、くどう)
「おー、なんかいると思ったら悠斗ちゃんじゃん。相変わらず女の子みたいだな。」
「俺たちで本当に女の子にしてやろうか?」
「いいねー、俺もさんせーい!」
「や、やめてください…。」
下を向いた顔が上がらなかった。
助けて、息が苦しい。
「はぁ、はぁ、はぁ、はっ、ヒュっ」
「こいつやばくねぇか?」
「逃げよう」
「そうだな。」
3人は座り込んだ僕を通り過ぎ歩いていった。
苦しい、怖い。
誰か…。
そう思いながらゆっくりと視界が狭くなっていく。
そして僕は意識を手放した。