3話
それでも王様ゲームは続く。
「王様だーれだ!」
「俺。」
「なんかテンション低くない?」
「いや、別に。」
「じゃあ、命令を!」
「うーん、命令…。☆が俺とうーん。」
「そこは面白さ重視でポッキーゲームとか?」
そう言った夕の手にはポッキーのあの赤い箱。
「準備はえーな。やらせる気だっただろ。」
「まぁね…!」
「わかったよ、それでいい。」
「で、で、で、☆さんはだーれだ!」
「わ、私。」
体を縮こませながら手を少しずつ挙げる子奈。
真っ赤になる俺。
「あ、えっと、子奈☆だから無理だったら断ってもいいんだぞ!」
「あ、えっと、別に大丈夫だよ…。」
沈黙が続く。
そんな俺たちを見かねて夕はポッキーを咥え秀の方に向き直る。
「秀、口を開けて」
秀もそれに答えて口を軽く開ける。
ポッキーの端を夕だけが食べ進めていく。
やがて夕と秀はちゅっと軽いキスをした。
周りのみんなは顔を真っ赤にしてる。
俺も。これをやるのか?
「子、奈?」
顔を赤くしたままこっちを向き目線が合うと俺も子奈もさらに顔が赤くなった。
夕達のせいでハードルが…。
「キス、するの?」
恥ずかしそうに聞いてきた。
「俺は、寸止めでいいと思う。」
「いや、キスまでして!俺たちが見本を見せた通りだ!」
子奈は席を立ち、心は席を譲った。
緊張した面持ちで夕からポッキーを受け取る。
そして、口にくわえて目を思いっきりギュッとつぶった。
これは俺が行くのか!?
震える唇で子奈がくわえた反対側のポッキーをくわえる。
口の温度でチョコが溶けるのを感じながら少しずつ子奈に向かい食べ始める。
視線が定まらず子奈の方を見るとほんとにこれは見ていいものなのか悩む。
あと数センチ、俺の心臓の鼓動が早くなる。
ドッドッドッドッドッ
子奈に聞こえてないかさらにドキドキしながら進む。
夕は俺達をガン見しながら今か今かと待ちわびている。
あと1口というところで止まっていると子奈がゆっくり目を開けて近づいた。
柔らかい唇が触れる。
俺はすぐに子奈から離れる。
「ごめん。」
「あ、いや、えっと、平気だよ!」
2人でモジモジしていると夕が
「今日は終わりー!解散!!」
急に終わりになった。
ってか、勉強してなくね?
「ほら、帰った帰った!」
「勉強は?」
心がそう問うと夕が少し機嫌悪そうにした。
「俺は、秀とイチャイチャしたいから帰って!それとも見てくか?」
俺たちは荷物もってリビングから出る瞬間に後ろからは夕の好きという声とキスの音が聞こえた。