1話
「ここが秀の家だ。」
「ってか、なんで男装してるんだ?」
「えっ、秀と会うから。」
「なるほど。」
後ろに3人子奈と心と悠斗がいる。
子奈は控えめの膝丈くらいのスカートだ。
めっちゃ可愛い。
ピンポーン
「いらっしゃい。扉開けるからちょっと待っててね。」
その秀の声とともに扉が開く。
そして女装している秀が現れた。
「秀、今日はメイド服か。かわいいな。」
「ありがとう!夕もタキシード似合ってる。」
というか、金持ちだな。
「「「「「お邪魔します。」」」」」
「お待ちしておりました。」
一歩入るだけで天井が高くシャンデリアがあり自分の家との違いに愕然した。
それにし、し、執事!?
ホントすごい。
「リビングでいい?」
「うん、もちろん。」
玄関でこれなんだからリビングも相当だろ。
秀が扉の前に立つとメイドが両側に立ち扉を開ける。
長くてでかいテーブルにいかにも高そうな椅子が置かれていた。
その椅子をひとつずつ角に集めて近くで勉強できるようにしてくれた。
「お前ん家すげーな。」
「大したことないよ!早く勉強始めよ!」
「秀、かわいいぞ!」
ラブラブオーラがすごい。
ということで前の3席に左から悠斗・秀・夕。俺は向かい側の真ん中で心が右心奈が左だ。
「僕、氷くんの隣が良かったな…。」
「仕方ないだろ。これはくじ引きで決めたんだから。」
「そうだけど…。」
納得できないという顔でムスッと俺の方を見る。
「じゃあ、はじめよっか!」
秀の合図にみんなが一斉に机に顔を伏せる。
何だこの感じ、俺が思ってたのと違うような。
俺も机に向かって勉強を始めるがめんどくさいと手を止めてしまう。
すると前の席の夕も俺と同じく手を止め顔を上に向けていた。
「夕、勉強やろうよ。私が教えるから。」
夕はシャキッとして秀の方を向いた。
そして秀の左手を取り
「仰せのままに。」
と執事みたいなことを言った。
対する秀は顔を赤くして右手で顔を仰いでいた。
「2人とも勉強しろよ!」
自分が言うのはなんだがこれ以上イチャイチャは見てられないと声をかけた。
悠斗も顔を赤くしていたのもあるけど。
「ごめんなさい。集中するね。」
そう秀が言うと今度は夕がムスッとした顔をした。
悪いがそういうのは2人の時にしてくれと心の中で思いながら手を進める。
「秀、ここはどうするの?」
「えーっと、ここの公式を使うんだよ!あ、ちょっと待ってノート借りていい?」
「いいぜ。」
「これ、全部外れてるじゃん。」
「な、マジか!」
それはこっちが言いたいわ!
心の中でまた思うと今度は俺の隣にいる心が肩をトントンと叩いた。
振り返るとちょうどこっちを向いた心との顔の距離が10センチくらいで思わず立ち上がった。
「ご、ご、ご、ご、ごめん!」
俺が心と距離を取ろうと後ろに引くと心奈に当たった。
「キャッ。」
「ほんとにごめん!」
俺は椅子を引いて立ち上がろうとした時心と子奈が俺の腕を掴んだ。