4話
「悠斗くん大丈夫かな?」
「平気だと思うけど、疲れたと思うしゆっくり休んでもらおう。」
「そうだね。」
悠斗が背中にいるが2人で話して帰っていることには変わりないと胸の鼓動が早くなった。
「悠斗も届けたし子奈の家まで送るよ。」
「あ、ありがとう」
ぎこちない会話が続いていく。
「今日、本当に良かったね…楽しかった!」
「俺も楽しかった!」
「…」 「…」
「「あのさ!!」」
「あっ、えっと、子奈からでいいよ」
「いやいや、私のなんて全然だから先氷くんが話して」
こんなやり取りをしているうちに子奈の家に着いた。
俺は初めて子奈の家を知った。
白い壁に青いドア玄関の光だけではそこまでしか分からない。
ここまでくるにも街灯が点々としていてあまり分からなかった。
子奈の家を知るチャンスだったのにと少しの後悔とこんな形で家を知るなんてという気持ちが混ざった。
恋人になってから家に呼ばれたかった。
「氷くん、送ってくれてありがとう!」
満面の笑みで呼び掛けをする子奈に照れてる顔を見られないよう後ずさりしながら
「普通のことだよ、また明日な!」
と言い捨てその場から走っていった。
胸の鼓動が早くなる。
これは走っているせいなのかそれともさっき子奈と一緒にいたからかわからない。
無我夢中で走ると目の前には自分の家。
俺は走りながらしっかりと家に向かっていた。
子奈の家から自分の家がわかったのが何故なのかを考えながらドアを開け玄関に入るといつものように子奈が飛びついてくる。
「お兄ちゃんおかえり!」
「ただいま!」
妹を抱っこしてリビングに向かい夕ご飯を食べ自分の部屋に向かう。
ドアを開け電気をつける。
ドアを閉めそのドアの前で呟きながらズルズルと座り込む。
「男装姿も可愛かったなー!」
今日押さえ込んでいたものが出てくるように次から次へと子奈を好きな思いが出てくる。
「紙コップ両手で持ってた、めっちゃ丁寧。ほんとに完璧すぎる。」
コンコンッとドアを叩かれる音で我に返った。
さっきまでのことが今度は恥ずかしくなってきてベッドにダイブ。妹が遊んでと言っているのが遠くで聞こえた。
どんどん遠くなっていき気がついたら朝になっていた。
恋ってほんとにヤバい!
心がときめく。そんな気持ちも抑えるべく前に読んでいた本の続きを読んだ。