1話
突然屋上のドアが開いた。
「ここ、解決部だよね?」
そう言って顔を出してきた秀、体育祭の時に同じ競技をしてから仲良くなった。
「そうだけど、どうしたんだよ秀。」
「相談、がある。」
秀の後ろから夕がひょこっと顔を出した。
「夕も?」
「うん。」
とりあえず椅子に座ってもらった。
その反対側に俺と心が座り、後ろに子奈と悠斗が立った。
「それで相談ってなに?」
「実は…。」
「結構深刻系?」
「それは分からない、けどわりと?」
「わかった。」
生唾をゴクリと飲み込み、しっかり聞く体勢に入った。
「俺と夕は付き合ってるんだけどお互いj」
「ちょっと待って、止めちゃってなんだが、えっ、付き合ってるのか?2人?」
「ああ、そうだよ。」
「えっ、そっちの方が驚き!」
「確かに美男美女でお似合いだよね」
心はその場の空気をどうにかしようとこの話題を一区切りさせた。
「付き合ってるんだ、いいな」
「そうだね。」
後ろの二人の会話が耳に入ってくる。
子奈付き合いたいと思ってるんだ…ダメだ、話題を戻さないとせっかく心がまとめてくれたのに。
「それで、問題は?」
「ああ、それは俺たち女装と男装がそれぞれの趣味で結構ネットとかにあげているんだ。」
「そうなんだ。」
「それで問題は文化祭の男女装喫茶なんだ。」
今まで口を開かなかった夕が続けて話し出す。
「私たち、ネットで人気なの。自慢とかではなくて」
「もしかしてミックスベジタブル?」
「そう。」
「本物だー!すごいよー!」
「悠斗、ミックスなんたらってそんな有名なのか?」
「すごい有名だよ!写真をあげるたびにネットでトレンド入りするんだよ!」
「ありがとう、見てくれて嬉しい。」
「サインとかあったらください!」
「秀サインだって。」
「いいよ、でもその前に本題に戻っていいかな?」
「ああ、悠斗落ち着いて、どうぞ。」
「俺たち男女装したらこの事がバレる危険性があるんだ。バレたらなんて言われるか怖くて、趣味なんだけど…」
心配そうに下を向く秀に夕も不安そうだった。
どうにか解決しないとな…。
「厨房手伝うのはどう?」
「確かに心の言う通りだ。どう?」
「俺は料理ができるんだが夕が…」
「…ごめんなさい」
「いや、謝んないで他に考えよう。」
「じゃあ、男装女装しないのはどうかな?」
「それだと参加してないことになるんじゃないか?」
子奈は考え込んだ。
男装女装するしかないのか。
「いつもメイクとかしてるか?」
「してるけど。それがなんだと言うの?」
「じゃあ、メイクしなければバレないんじゃないか?」
「そんな単純な話じゃないと思うけどな。」
「じゃあ、明後日ここに男装女装の服とかメイクをしてもらっていいか?」
「えっ?」
「なんか分かるかもしれない。」
「…わかった、夕もいい?」
「いいよ。」
「じゃあ、俺たちもそれ以外に色々と考えとこう。今日は解散だ、帰ろう!」