6話
昼食をはさみ、1年・2年・先生と3年生のリレーが終わりいよいよ俺が出る選抜リレーだ。
「やばい、めっちゃ緊張する。」
「大丈夫だよ!ちゃんと練習したから!」
「ありがとな、子奈。」
会話が終わると入場が始まった。
入場して最初に走るのは夕。女子の中で1番足が速いので差をつけてもらう。
2番は子奈、夕の次に足が速い。
3番は秀、イケメンでみんなの足を止めつつ男子1の速さを生かす。
最後は俺、自分では足の速さは分からないがアンカーを託された。
うぅ、責任重大、はぁ。
位置についてよーい、ドンッ
スタートの合図と同時に夕が1番前に出る。そのままスピードを落とさず子奈に渡った。
隣に走ってた子と接戦になったが1位をキープ。
次に走る秀に渡る。秀はキレイなフォームで夕の時より差をつけた。
そして俺、こんなに差がある。大丈夫...。
そう思った時となりに陸上部の部長がさわやかな笑顔で並んだ。
残りはまっすぐ直線100メートル俺はとなりを見ずに前だけ向いて走った。
息、苦しい。
後ちょっとでゴールだ。前には白いゴールテープ、その時。
ヒュンッと音が出そうな程の速さでさっきの部長に抜かされた。
そこで集中が切れたのか目の前が真っ暗になる。
目を開くと霞んで見えにくいが真っ白い天井、俺はふかふかのベットに寝っ転がっていた。
「...こ、こは?」
「みんな、氷くんが起きたよ!氷くん、ここは保健室だよ。」
「…えっ?」
「氷くん、大丈夫?」
「ごおりぐん、よがっだ。ズビッ」
状況を把握できず泣きつく悠人の頭を撫でながら心の方に顔を向けた。
「どうゆ、うこと?」
「ここ数日、いや結構眠れてなかったでしょ!」
「えっ、…えへへ」
誤魔化すように変な笑い方をしてしまった。
「えへへじゃない、僕たちがどれだけ心配したと思ってるの!」
「…。」
「ゴールテープを追うように倒れて会場中シーンとなったんだから!僕はこの足で氷くんを運べないから保健の先生と担任の先生に担架で運んでもらったんだよ!本当…心配かけないで…。」
俺はあわあわしたがそれ以前にみんなが泣きそうな顔で俺を見る。
この状況でこんな事で泣くなよとはとても言えなかった。
でも、気になることがある。
「この空気でわるい、俺ってゴールしたよな?」
「「「うん。」」」
3人揃って頷いた。
良かった。
この日は学校に親を呼んでもらい帰った。
おかんも海も心配そうな顔で迷惑をかけてしまったと後悔した。
確かに最近は寝れてなかった。
悠斗のこととかこれからの解決部についてとか体育祭とかそれらのせいということではないけど考えてしまう。
未来のことを…。