1話
「えっ、コーちゃん?」
ゆまりが俺を見るなり壊れそうなほど勢いよくドアを閉めた。
まぁ、そうなるよな…。
急いでドアを開け、走っていこうとしていたゆまりの腕を掴む。
「待って、俺はお前が抱えているものを知りたいんだ。」
「私が…。」
涙目になり、下を向き右手で涙を拭き出した。
「ゆまり?」
そんなに抱え込んでいるのかと思い少しかがみ顔を見ると赤くなっていた。
「ごめん、今日は…。」
そう言うと俺の手を振り払い階段を降りていった。
俺はその場にぽつんと取り残され、どうして行ってしまったのか考えていた。
すると、後ろのドアから心と子奈が出てきて
「ゆまりちゃん…。」
「ゆまりさん…。」
その一言だけこぼし部室に戻って行った。
俺はどうすれば良かったんだ。ゆまりとは何か、何かがあったんだ。
次の日ゆまりは学校を休んでその日から来なくなった。
しばらくは俺も部室に行かなかった。
そんなある日教室で心が俺の腕を掴み部室に連れていった。何も分からないがとにかく着いていく。
「氷くん!」
すごい真剣な顔で言われた。その後も続けざまに言葉を紡いでいく。
「氷くんがこの部活を作ったんだ。1回の失敗が何、ゆまりさんだけじゃなくて他の人の問題も解決しないと!僕を頼りにしてくれたこと本当に嬉しかった。だからっ!」
俺は心の言葉を遮って言った。
「心、悪かった。そうだよな。ゆまりだけじゃなく、この部活を立ち上げたんだから他の人の役にも立たないと…でも、最初はゆまりからだ!」
「わかった!」
さっきの真剣な表情から優しい笑顔になり俺の決意に返事をしてくれた。
早速先生にゆまりの住所を聞いて俺、心、子奈で溜まっていたプリントごとゆまりの家に向かった。