肆之弐拾壱 モブ、邪教の話を詳しく聞く
最澄と空海の関係も気になるけど、邪教の様子も気になる。
気になる、つか詳細教えてプリーズ。
まぐわいって、まくわ瓜とかじゃなくて、あのいやらしい方のまぐわいですよね?
「男女の交わりだな、まあセックスだ」
「ですよね!!」
「なんで急に声大きくなるんだよ」
「そういうのに過剰に反応する年頃なんすよ、童貞ですし。爛れたセックスって変態を見る目で見ながらもちょっと憧れるじゃないですか!」
「声でかいし早口だな。見たいのはわかるがまあやめとけ、実際見たらあれは気持ち悪いぞ。あいつら自覚ないから性質悪りい」
「そうだとしても! いや、ならば、なおさら!」
「耳元で大きい声やめろって。わかったよ、捕物あったら声掛けるように嶋田さんに言っとくよ。後悔すんなよ?」
後悔なんぞするものですか、だてに未成年お断りのアレな動画サイト巡りしてませんよ、フヒヒ。
「大僧正、やつら秀頼公の首で何する気なんですかね? 髑髏尊に仕上げたらなんか望みが叶うんでしたっけ?」
「うむ、荼吉尼の外法で髑髏尊を作らば一願成就が叶うと聞くが……豊臣の恨みの首を使うなど、幕府転覆を狙っておるのじゃろうて。ただ何をしでかすか、具体的には分からぬの」
大僧正がえらく心配そうな顔をしてる。この方がこんな顔するの珍しいな。やっぱり幕府転覆の企みには冷静じゃいられないのかな。
「ちなみに大僧正はな、外法を実践する連中の業が深くなるのを心配してらっしゃる。仮にも仏教修行者が自業で悟りから遠ざかるのがなにより悲しいそうだ」
「あ、その辺は仏様の慈悲なんですね」
この世のことより行者の悟り優先なんすね、外法使いが相手でもそこは揺るがないんすね、さすがです。
「ところで平賀さん、そのまぐわいの様子を軽く教えてもらえませんか? さわりだけでいいんで」
「ん? 聞きたいのか?」
YES! 是非聞かせてください! きっとすごいプレイなんだろうなあ!
「まず結界を張って浄めた髑髏を曼荼羅の中心に置くだろ、そんで荼吉尼真言を唱えながらセックスだ。女の愛液を髑髏に塗り込む、つぎに男の精を髑髏に塗りこんで、これを七日七晩ひたすらに繰り返す。倒れたら次に交代だ。真言を唱える周りの僧や尼僧もひたすらまぐわい続ける。欲を出せるなら出せるだけいいらしい。怪しげな香を焚いて、麻黄……まあ幻覚性の麻薬だな、これを一緒に焚いたりする」
「……なんかすごそうっすね」
「すごいなんてもんじゃない、そりゃもう欲に塗れた正視に耐えない景色だぞ、まだナメクジの交尾でも見てる方がよっぽどマシだ。油断すると野郎同士でおっ始めるしな。男の野太い嬌声は聞くに耐えねえぞ」
どうしよう、気軽に見てみたい、なんて言うんじゃなかったな、なんか想像以上にエグいみたいだ。薬の入った男女問わずの集団プレイって、そんなのアレな動画サイトでも見たことないぞ。
「あの、平賀さん、見学はやめておいていいですか?」
「おう、やめとけやめとけ。ありゃトラウマになるか、性癖歪むかどっちかだと思うぞ。童貞ならなおさらだ」
未使用なのに性癖が歪むのは避けたい所存。
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