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このEDOはフィクションです  作者: 石依 俑
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肆之拾肆 モブ、天狗に伊豆へ誘われる

「で、どういうお話だったのお?」

「安宅丸が伊豆へ帰りたがってるんですって。で、伊豆まで行ってもまだ夜鳴きするんだそうです。俺らに下されたのはとっとと黙らせて江戸へ船を廻せ、です」


 疲れた顔で衛人が言う。よくわからんけど船が鳴くの? それもう妖怪じゃん。叩っ斬れば? あ、無理、あ、そう。


「それはまた長引きそうなご下命ねえ」

「原因がー分からないのー。長引くのは間違いないねー。めんどくさいねー」

船魂ふなだまの類いでしょうが、顕現させて話を聞くというのもそう簡単ではないでしょう。日照さん、そういう加持祈祷ってあります?」

「うちだとどうしても調伏になるねー。普通の船ならそれでもいいんだろうけどー、御座船の安宅丸だから外聞は悪いねー」


 お姉さま方が揃って溜息を吐いてらっしゃる。めんどくさいというのがこれでもか、というほど伝わってきますね。


 ではそろそろモブは帰るとしますか。キャバれないならここには何の用もございません。


「皆さん大変ですね。それでは俺はこの辺で」

「ななくん、うちの隊で伊豆に行こうと思うのだけどお。一緒に来る気はないかしらあ」

「いや、これは七海さんには関係ないことじゃないですか。さすがに悪いですよ」 

「衛人、お前うるさいから黙れ」

「フォローし損!」


 お姉さま直々のお願い! これは行かねばなるまい。伊豆へ行くなら何泊かは宿場に泊まるだろうから、そこでキャバれるじゃないかフォフォフォフォーン!(テン上げのホーン)


 伊豆で俺が何したらいいのかさっぱりわからんけど、なんか勝算があるんだろう。あるんですよね? とクマラさんを見るとふい、と目を逸らされた。あ、これ俺を連れて行ったらなんか起こるかもなーぐらいの期待値だわ。なんも確信ない顔だわ。

 いいでしょう、何もできないかも知れませんが、楽しい旅をご一緒しましょう。そして取立ても。

 お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。


「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。


 評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。

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