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このEDOはフィクションです  作者: 石依 俑
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肆之弐 モブ、思ったより使える加護をもらってた

「土御門さん、クマラさん、日照さん、まさか面倒事を持ち込んだんじゃないでしょうね。あと衛人は帰れ」

「なんでですか!」


 そりゃお前、お姉さま方とキャッキャウフフしたいからじゃん。お前はスライムちゃんとよろしくやっとけよ。


「ななくん、話だけでも聞いてもらえないかしらあ?」

「ぜひ聞かせてください」

「態度が違う!」


 だから大きい声出すなってば。ほら見ろ猫神使が威嚇してるじゃねえか。


「ななくん、私達もなんでここに来たのかわかんないのお」

「? と、おっしゃいますと?」

「ここからは某が」


 クールビューティーが小さく手を挙げてクマラさんから説明を引き継ぐ。なんでも江戸城に出る妖退治を拝命したものの、いつ、どこに現れるかわからない、という特性で出現場所が絞りきれず、討伐に疲弊しきった頃、見かねた鳥さんのすすめで占いに頼ったところ、寅吉七番を訪ねよ、と出たらしくうちの長屋に来たらしい。


「この面子でそんな苦労する妖怪なの?」


 式神を操る陰陽師に、人智を超えた天狗に、奇跡がウリの真言宗の僧侶ですよね。そこに剣を使えるけど今は微妙な腕前の衛人が加わって退治できないのか。


「今、七海さんから俺宛ての悪意を感じました」


なんだよ衛人、お前もニュータイプに目覚めたのかよ。


「修行しましたから。そんなことより相手は大鼠なんですよ、鉄鼠とも言うらしいんですが」


 権力者を好んで襲う妖怪らしく、どこにでもいる鼠の一匹をマーカーにして集合して大きくなるらしい。


「正直、精も根も尽き果ててまして……」


 マーカーになる鼠を妖力の高まりで見つけて退治しても、妖怪の本体は別の鼠に乗り移り、結局はイタチごっこになるのだという。鼠なのにイタチごっことはこれ如何に。


「それで俺に何が出来るんですか?」

「何が出来るのか、こっちが知りたいわあ」


 ですよねー。占いに頼って来たものの、俺が妖怪相手に力になれるわけでなし。なんで俺がアテになるのか。そもそも占いが間違ってるんじゃなかろうか。


「ところで護衛が揃ってうちに来てて大丈夫なんですか?」

「主に夜に動く妖だからあ。昼は昼で別の隊が詰めてるわあ。お庭番もいるしい」


 別チームがいるのか。つか、御庭番って本当にいるんだな。なんで柳生新陰流の皆伝持ってる人を守る役目がいるんだろうか。上様だからだね。


「氏子の寅吉よ、猫の与えた鼠除けの加護を使うと良い」

「ありましたね、そんなの。あれって妖怪相手にも効くんですか?」


 機嫌の悪そうだった猫神使があくびしながらぐいーと伸びる。しっぽも上がって得意げだな。


「妖であっても鼠は鼠。我が神の権能からは逃れられぬ」

「そういうもんですか」


 そう言えば近ごろ長屋から鼠がいなくなったと妙さんから聞いたな。偶然かと思ってたけど猫神使の加護が効いてたのか。


「「「「え」」」」


 衛人パーティが揃って猫神使を見た。



「まさかこんなところに突破口が!」

「え? え? 保食神うけもちのかみにそんな権能があ?」

「真だとしたら朝廷に官位を送るよう上申せねば」

「本山にも勧請しなきゃだわー」


 みなさんザワザワしてますね。作業の邪魔なんだけどな。

「七海よ、ぶっくまーくが増えておったぞ」

「おらっシャア! 感謝の五体投地ですね準備も完璧ですよ逃走用の足も確保済みです! 待ってろ生活安全課!」

「逃げる相手がどんどん明確になっておるのう」



 お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。


「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。


  評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。

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