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このEDOはフィクションです  作者: 石依 俑
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参之弐拾伍 モブ、弟子入りすらできなかった

頼みの綱のスマホなのにバッテリーがおかしくなりつつあります。頼む! もう少し、退院するまでもってくれ!

「さて、次は大事な大事なお顔ぜよ。顔は表情をつけられるよう、里秘伝の肉面の術を施すぜよ!」


 肉面って穏やかな感じがまるでしないけど、一体なんなんだろう。


「待て、肉面というのはまさか蓮如の例の鬼面か?」

「れんにょとか言うのは知らんけど、大僧正は肉面をご存知ぜよ?」

「顔に張り付いて肉と同化する鬼の面なら知っておるがの」

「それぜよ、なんだ有名だったのかー、さすが我が里の細工」

「あの、肉面って怖い字面だけどなに?」

「ああ、それはの」


 割って入った俺に大僧正が答えてくださる。なんでもその昔、越前(福井県かな?)に信心深い若夫婦がいたそうな。農作業を終えたら、近くの寺に二人して住職の話を聞きに行くのが日課となってたとか。


 それを面白く思わない姑が二人を脅かそうと、鬼の面を被って藪から嫁を驚かせたら鬼の面が取れなくなったとか。面を無理矢理外そうとしたら顔の肉が持って行かれそうになったので、住職に泣いて相談したら、信心の邪魔をしたのでバチが当たったのだ、息子夫婦と仏様に謝りなさいと諭され、悔い改めた姑から面が外れたのだと言う。その住職が真宗中興の祖と言われる蓮如上人だったんだって。へー。


「七海は蓮如を知らぬか。家の宗派はなんじゃ?」

「うちは真言で墓が四国にあるんです」

「そうか、元空海としては嬉しい話だの」


 ホッホと笑う大僧正。そういやこの人、天海大僧正に転生する前は空海だっけか。法事の時くらいしか宗派なんて気にすることないけどね、自分の広めた宗派が長く残ってるのは嬉しいんだろうな。


「ところでさよちゃん先生はそんな怖いものを作るつもりなの?」

「この顔色も分からぬ太歳にはそうするしかないぜよ、こやつに今必要なのは仮初めでもきちんと動く器ぜよ」


 まあ確かにそうなんですけどね。スライムぽい寅吉もどきなんて、神仏の助けがあっても誰も見向きも信用もしないだろう。じゃあ肉面も仕方ないのか。


「七海よ、よく見ておくぜよ、これがいざなぎ傀儡方の秘術ぜな!」

「うおおおお! こ、この力はあ! あ、ところでこれって呪力? が、なくても使えるの?」


 なんかオーラっぽい気合いをほとばしらせてたさよちゃんが真顔に戻る。


「え、ないの? 呪力が?」

「うん、ないの」

「七海よ、なら、この先は見ても無駄ぜよ」


 無駄かー。そもそも弟子入りが無理だったのかな? いや、木工の技術自体は参考になるはず、なるよね?


「いざなぎ傀儡方の技は、うちらの里の木地師の技と表裏一体。どちらかだけを習うのは無理ぜよ」

「つまり?」

「お帰りはあちらぜよ」


 弟子入り初日に破門されちった。

お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。


「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。


評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。

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