参之拾漆 モブ、ぬらりひょんに飯テロされる。
脳出血で入院しています(マジ)
ですので、更新が滞ることも今後あると思いますが、御理解いただければ、と。
皆様もご自愛くださいませ
とりあえずいっぺんみんな落ち着こう。衛人はしっかり反省しな。みんな、お騒がせでした。キツネが呪ったから大丈夫みたいだよ。一旦解散しよう。いろいろ疲れたでしょ?」
「呪いではない、神呪じゃ!」
知らねえよ。この子らを安心させるのが大事なんだから、細かい違いはどうでもいいよ。
「キツネ様、ありがとうございます!」
「ふふん、感謝するなら油揚げを寄越すのじゃ。信仰と油揚げは同じ価値があるのじゃ!油揚げなき信仰なぞ無価値と知れ!」
お前、それはさすがに神様も怒ると思うぞ。一応、関東の稲荷神使の纏め?なんだから、そういうとこはちゃんとした方がいいんじゃないかな。
「はっはっは! 妾の言葉は宇賀野御霊!のお言葉! 崇めよ、奉れよ! 油揚げの上に油揚げなし、油揚げの下に油揚げプベッ」
キツネの頭にゴーンとなにかが落ちてきた。
黒々とした、これは……
「これお釜?」
「お釜ねえ」
「お釜だねー」
「稲荷神は穀物の神。穀物を炊くお釜が落ちてきたということは…」
ということは?
「猫は神罰だと思う。この釜からは宇賀野御霊の神気が感じられる」。
猫神使が断じる。調子に乗ってたキツネが神から直接、罰を当てられるなのはわかる気がする。そりゃ神様も怒るよね。
「はい、キツネに神罰が落ちました。なので、みんなは稲荷神に正しい感謝をしてください。間違っても油揚げの数が信仰の代わりになるとか思わないでね。
はーい、と長屋のロリ住人が三々五々帰っていく。悶絶してるキツネは放置でいいだろう。
さて、衛人。狭いとこだけど、とりあえずうちに上がりな。お姉さま方もどうぞご一緒に。
俺んちに一歩踏み込んだらお馴染みの気配がする。
「氏子の寅吉よ」
「はい、いますね。ちょっとしばいてきます」
毎度懲りずにまた来たのか。うちに入ってスパーンとぬらりひょんの後頭部を叩く。衛人、クマラさん達が揃って飛び上がった。やっぱ見えてなかったんだな。そう言えば狐も知覚してなかった。これは確かに驚きのステルス能力だ。
このタイミングで来るんじゃないよ。英雄豪傑の八番がいるんだから狩られても知らんぞ?
俺を庇うつもりか、畳に座ったままの衛人が膝立ちで前に出て抜刀しようとする。やめなさい。と、衛人のケツを足で押す。つんのめって顔から転んだけど刀は抜けてないから怪我はないね。
あ、小生もう、喋って大丈夫でございます? 皆さま修羅場っぽくてもう、飯が進んで進んで。
貴様ぬらりひょんか! 我らの目標の一つ!
俺を庇うつもりか、畳に座ったままの衛人が膝立ちで前に出て抜刀しようとする。やめなさい。と、衛人のケツを足で押す。つんのめって顔から転んだけど刀は抜けてないから怪我はないね。
クマラさんが翼広げて臨戦態勢をとる。つっかえた。狭いですもんね、長屋。
ああ、暴れないで、まあちょっとお聞きくださいな。ほれ、ぬらり、説明、説明。あ、クマラさん、障子紙破らないで。怒られるから。大家さんに怒られるから。
ぬらりひょんが、かくかくしかじかと説明してる。途中から妖怪合議のグルメリポート始めた。話だけでうまそうだなおい。会議中なのに本格的な懐石出るんだ。八寸から強肴も出るの?繊細な料理ですね、最後は薄茶と水菓子で締めるんだ。それ食事会とか懇親会じゃね?
こんなんを総大将と思ってたのか…。
衛人とクマラさんが崩折れている。
まあ、ただ飯のプロと言うか、並みいる妖怪や神使にも姿を認識できない、食い逃げに特化した妖怪なんているとは思わんわな。
小生、ただ飯のためだけにこの世に生じましたから!
うるせえ黙ってろ。俺の箸使うなってば。
ところで、なんでそもそも妖怪の総大将を倒す流れになったの?妖怪ってそんな悪さばっかりする存在だっけ?俺が会ったの、河童とらぬらりひょんと狐ぐらいしかいないけど。
「ナナくん、天狗はなぜ天狗だと思う?」
? 神使とか妖怪みたいな超自然的な存在なんじゃ?
「天狗はね、知識欲に取り憑かれた僧侶が外道に落ちてなるものなのよお。」
え、それじゃクマラさん、元人間なんですか?
「そう、元人間なのよねえ。修験の験者だったの。昔、牛若に兵法仕込んだのも、自分の知識や剣術がどこまで実戦で通用するか、知りたくなったからなのよお。」
まさかの義経人体実験説。鎌倉幕府の皆さん、あなた方、天狗の実験で勝てたみたいですよ。て、ことはもしや。
「だからエイくんがどこまでできるか、妖怪総大将で試すつもりだったのお。」
衝撃の事実。豪傑の怪異退治はただの試験運用だった。あの、エイトの魂が抜けてますけど。おい、帰ってこい、仮の体で魂抜けたら多分えらいことになるぞ。なるんじゃないかな。。、いや、そうじゃなく。クマラさん、責任持ってエイトのケア…えっとフォロー…えっと、とにかくちゃんと説明と謝罪しといてください。可愛がるなら最後まで面倒見て。
「なんで?」
ああもう、こういうとこホント外道だな。
可愛がるなら自分のことだけ考えちゃダメです。ペットにも命はあるんですよ、自分の都合だけで命をどうこうするのはダメでしょ。
「でも私、外道だしねえ。」
ですよね。えーと、放置ペットは後々、野生化して大きな社会問題になりますよ。そういうのは、誇るべき知識人としていかがなものでしょうか。
「そっか、なら考えなくちゃだわねえ。」
エイトはペット呼ばわりにショックを受けたのか燃え尽きてる。
クマラさんは考え込み、エイトは放心し、ぬらりひょんは食後の茶を淹れようとしてる。
改めて思う。なぜ俺んちはこうもカオスなのか。いいから静かに作業させろ。
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