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このEDOはフィクションです  作者: 石依 俑
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参之拾伍 モブ、寅吉八番がキツネに襲いかかるのを助ける

「お? 七海もいま帰りぜよ?」

「おや、さよちゃん、お帰り。修行はどう?」

「基本を叩き込まれてるぜよ、我流は描きたいもん描けるようになってからやれ、ってさ。毎日、厳しいけど楽しいぜよ!」


 ばぢん!


「ほらほら! また聞こえた!」

「なにがぜよ?」


 おっかしーなー、なんで誰にも聞こえないんだろ? 俺の耳と頭がイカれてるんだろうか。イカれてるのは矯正前の衛人だけで十分です。


「な、七海さん、この方達は?」

「ん? 俺の世話役のお妙さんと、絵師見習いのさよちゃんだよ。同じ長屋の住人。二人とも、紹介するよ、こいつは寅吉八番の衛人という、俺の対の寅吉だってさ」


 さっきまでの高僧と見紛うほどの、衛人の落ち着きと静けさがなくなりかけてる。なんか目がギラギラし始めて、息も荒い。肉食動物的なヤバさを感じる。


「さな、七海がお外に出てるよ」

「かな、お外に出れたんだねえ」


 出たな、人見知り大道芸双子姉妹。互いにかばい合うように身を寄せてるこの二人は、放下という足芸で生計を立ててるロリ姉妹のさなとかなだ。大きな荷物を背負ってるのは仕事帰りだからか。もちろん長屋の住人である。普通は大道芸人は演目ごとに集団生活するらしいけど、二人はここに住んでる。


 ばぢん! ばぢん!


「うわ、二連発! うるせえ!」

「「なにが?」」


 くそ、双子にも聞こえてねえ、なんなのこの音。

 音について考えてたら、急に背後から怖気が襲ってきた。これはまさか殺気? とは違うな? すごく気持ち悪い感じのナニカだ。


「あれ衛人、急にどうしたの」


 気持ち悪い方を見たら、衛人が道に崩折れていた。様子がおかしい。しかし、このヤバさフルMAXのこの感じ、初めて見たときに感じた、あの衛人が戻ってきやがったのか?

おかえりガチロリサイコパス。修行による矯正は?


 ゆらりと立ち上がる衛人。こわっ! こいつ、こわっ!


「お妙さん、さよちゃん、さなかな! 俺の後ろへ!」

「七海、妾も気にせんかや!」


 キツネは人間ごとき、どうとでもできるでしょう? こいつはもう、本能だけで動く獣だ。


「もうだめだ、我慢できない! うん! する必要すらない!」


 人の体の形がそのまま残るほどの素早い脱衣から、キツネへとダイブ。


「ひ!」


 恐怖に引きつる涙目のキツネ。


 瞬間、体軸を僅かに前に倒し、膝を抜いて加速しつつ、空中の衛人へ接触。そのまま接触した手を回りながら導いて転換。背中から柔らかく落として、裏で固める。

 なにしてんのお前。そんで、なんでポカンとしてんの。


「……あの、今のなんですか?」

「合気だよ、知らんのか」

「使える人は初めて見ました」

「この程度じゃ使えるとは言わねえよ。隙だらけだから、かけられただけだ。俺もルパ○ダイブ初めて見たよ、どういう身体能力してんの、お前」

「修行の成果?」

「迷惑な修行だな!性格治ってねえし!」


 俺と衛人がそんな問答をしてると、背後のムチムチした気配から、ムチムチとした声がかかった。


「今の技はなあにい? やわらでも組討くみうちでもない、琉球のていでもないわねえ。外に出た重心を導いたように見えたけどお?」


 ムチムチわがままボディお姉さま、こと、天狗の鳩摩羅くまらさんだ。そのわがままボディ、思うままにムチムチしたいです。


「さすが、よく見て取りましたね。あれは大層に言えば『真空の気』と言います」


 って、俺の合気道の先生が言ってたよ。これが本当に真空の気なのかどうかは知らんけど。

お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。


「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。


評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。

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