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このEDOはフィクションです  作者: 石依 俑
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参之拾肆 モブ、寅吉八番と再会する

 結局の所、ゴンザレスの筋肉と猫神使がお姉さま方にモテただけで、俺は碌々お話もできなかった。


 お幸さんが気を使って、俺のお相手をしてくだすった。ありがとうございます! さすがマイ・スイート・お姉さま。さすおね。なんでか平賀のおっさんに夢中だけど。


 ああ、これはひょっとしてアレですか、俺をダシにした本妻ロールプレイですか、宴席で暇そうな客をもてなす予行練習ですか。それでもありがとうございます。ありがとうございます…。


「七海よ! 何を煤けておるか!」


 遊山も終わった帰り道、船を降りてしばらく歩いたらキツネがいた。


「なんだキツネか」

「いい加減、それやめんかや! それになんで猫が一緒にいるのじゃ!」

「いや、一緒に住んでるし?」


 何言ってんだ、このキツネ。監視してるなら知ってるでしょう? キッと猫神使を睨みつけるキツネ。


「猫、何をしたのじゃ!」

「? 何もしておらぬぞ? 猫は猫として住んでるだけだが」

「なぜか七海が稲荷の監視網でも見つけられなくなってるのじゃ! それにお主は新宿のやしろが住まいじゃろう!」

「神のいます場所は変わらぬ。神使たる猫は神の思召しで氏子の寅吉と住んでおる。監視の件は何も知らぬ」

「ぐぬ、ぐぬぬ。それでも七海が監視から外れるのは、猫が何かしたのじゃろう! なんで稲荷の監視から逃れられる!」


 キツネ、今日は疲れたからその辺にしといて。お前の監視から外れてるのは嬉しいけど、わざわざ言いに来ないで。そのまま見失っていてください、だいたいうちで仕事してるけど。


「おや、七海、お帰り。おめえに客だよ」

「大家さん、ただいま帰りました。え? 客?」


 客来るほど俺の交友関係広かったっけ? 長屋以外の俺の知ってる人とは今日会ってたよ? あとは新さんとお奉行くらいしか知らないんだけど。


「七海さん! お疲れ様です!」

「お、おう、お疲れ様です?」


 大家さんちに八番こと、衛人がお姉さま方三人と来てた。俺を待ってたんだと。だがやばい、今はキツネがいる。

 初対面でガチロリサイコパスのおぞましさを叩き込まれたキツネには、衛人の存在がさぞトラウマになってることだろう。


「キツネ、いいから今は逃げろ」

「これは若一にゃくいち様、いつぞやは大変失礼いたしました。いと高き方への失言、お許し頂ければと存じます」


 なに、どうしたの衛人、お前ぶっちゃけ頭おかしかったじゃん、礼儀正しいガチロリサイコパスって逆に怖いよ。お姉さまにロボトミー手術でもされた?


 ばぢん!


「え? なに今の音?」

「どうした七海?」

「いや、今なにか縄を引きちぎったみたいな大きな音が」


 大家さんもキツネも猫神使も首を傾げてる。いや、めっちゃ大きい音しましたやん。キツネ、その頭の大きな耳は飾りなの?


「七海さん、お帰りなさい。王子の滝はどうでした?」

「お妙さん、ただいま帰りました。紅葉はちょうど見頃でしたよ」


 ばぢん!


「ほら、また大きな音が」

「?」


 キツネはともかく、猫神使は耳がいいはずですよね? てか、普通に爆音なのに、誰にも聞こえてないってどういうこと?


「山での修業を終えたので、対の寅吉の七海さんに挨拶に来たんです。これからは同じ江戸の住人になります、よろしくお願いします」


 あれか、山での修行で浄化されたのか。きれいなジャイアン状態なのか。まあ正常になった分には歓迎だけど。

 この状態が続けば何も問題ないんだけど。

お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。


「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。


評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。

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