肆之参拾壱 モブ、八番とスライムちゃんとともにぶっ飛ぶ
「はい、みんな集まってー! えいちゃんは僕を抱きかかえてね! じゃあ行っくよー!」
「なあ穂積、俺が抱える必要ある?」
スライムちゃんが嬉しそうな顔で衛人の質問を無視する。スライムちゃんをお姫様抱っこする衛人、大僧正、クマラさんにこんがらさん、そして俺。寅吉2人以外は普通の涼しい顔してる。
一体何が起こるの?
「行くよー! エイ! ホ! エイ! ホ!」
「うわ、あぶな!」
抱えられたままのスライムちゃんが、かけ声とともに両腕を曲げたり伸ばしたりしてる。衛人が顎を殴られそうになってるけどいいの?
そんなこと気にしてなさそうなスライムちゃんは拳を握ってエイ! で伸ばして、ホ! で胸前に曲げてる。これ見たことあるぞ……。
「穂積なにしてんの、危ないからやめろって」
「エイホ、エイホ、いいから、エイホ、えいちゃんは、エイホ、そのまま、エイホ、でね!」
これあれだ、「天鳥舟」だ。たしか舟漕ぎ運動とも呼ばれてるやつだ。
もとは神道の行法だけど稽古前にやってる合気道場もあるって聞いた事ある。
合気道開祖もやってたって聞くけど本当なのかな。
ちなみにうちの道場はやってません。代わりに空手の突きや蹴りをやらされてる。合気道もいろいろあるんだなって入門した頃は思ってたよ。
まさかその後、道場ごと会派から破門されるとは思わなかったけど。
エイホエイホのスピードがだんだん上がってきた。……あれ? 衛人浮いてる? いや、俺も浮いてるー! なんで? これなんで?
「落ち着け七海。この娘の寅吉はアメノトリフネの加護を受けていると知っておろう?」
「それは聞きましたけど! なんなんですかこれ?」
「準備完了! すっ飛ばしてくよー! 方向はあっち! 動機は殺生石! 行き先は那須!」
次の瞬間、ぶっ飛んでた。
スライムちゃんの術? だか加護? だか知らないけど、いつの間にか見知らぬ土地にこんにちはしてた。
なんというか、ガサガサした山肌に岩が点在してる。そこかしこから煙が上がってる。
ここはディストピアかな?
「すいません、ここどこですか?」
これ人生で三回目の質問だよ。なんの因果でこんなことになってますか?
「那須にとーちゃーく! 飛ぶと速いよね!」
「穂積、酔うわこれオボロロロ!」
きったねえ、そして酸っぺえ。俺も気持ち悪くなってきオロロロ!
お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。
「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。
評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。




