肆之参拾 モブ、こんがらさんの次に会ったのはスライムちゃんだった
「七海とやら、この戦の寅吉の手綱はお主が握っておるか?」
こんがらさんが俺を睨んでこう仰る。これ、怒ってらっしゃいますよね?
「はい、すいません。手綱は握ってないですけど謝らせます、ホントすいません。ほら衛人、頭下げろってば」
「ロリの敵は世界の敵! 神仏の使いであろうと眷属であろうとそこは譲れませんよ!」
こいつとうとう抜きやがった。お前、神仏相手になにができるの?
「えいくん、一旦落ち着こうねー」
ムチムチ天狗のクマラさんが抜刀した衛人の勢いそのままに投げてらっしゃる。ついでに抜いた太刀も奪ってる。なんかすごい技を使ったのは分かるけど何が起きたの?
「矜羯羅様、私は修験の行者で天狗のクマラと申します。この寅吉の教導を天海大僧正より仰せつかっております。寅吉八番の無礼をお詫びいたします」
クマラさんがこんがらさんの前に跪いて礼拝の形で挨拶してる。やっぱ偉いんだな、こんがらさんは。
「ふむ、教導の天狗か。八番は剣は使えそうだが、それにも増して愛欲が深そうだ。そちらもきちんと導けよ」
「えっと…その件につきましては五大明王の羂索の術で一旦は愛欲を縛ったのですが……」
「天狗、歯切れが悪いぞ。何を申したい?」
「愛欲の深さ故か、自力で術を破りまして……」
「人が施したとはいえ、明王の封縛を破ったと?! 此奴の業の深さはそこまでか!」
長屋に大人しく登場した衛人がロリ見て急に覚醒した時か。縄引きちぎるみたいなすげえ音したもんな。俺にしか聞こえてなかったけど。
「そこな普通の寅吉よ、この天狗の申すことは確かなことか?」
今度は俺がこんがらさんに睨まれる。やめて、怖い顔で見ないで。むしろ俺に絡まないで。
「はい、五大明王は知りませんけど、縄が切れるような音が5回して、そのあと衛人は狂いました」
「狂ってません! 修行で禁欲が続いてたんでちょっと嗜好が暴発しただけです! 七海さんの長屋にロリが多いのが悪い!」
え? あの時、理性吹っ飛んで本能剥き出しになったように見えたよ? それって狂ったって言わない?
まあ衛人の本性が隠す所なく出てきたんだろうから弁護の余地はないですね。それとお前の性癖をうちの長屋のせいにしないでもらいたい。
こんがらさんと衛人の間に張り詰めた空気が流れる。クマラさん、これ、どうしたらいいですか? 俺は何も出来ませんけど。
「呼ばれて飛び出てテ・キエロ・ムーチョ! えいちゃんの夜の恋人、穂積ちゃん降臨♡ダゾ」
「おやスライムちゃん」
「げ、穂積なんでいるんだよ」
スライムちゃん、こと準寅吉のほづみちゃん? が突然現れて嫌そうな顔してる衛人に抱きついた。なんで君いるの? この空気読めない?
「むふふ、えいちゃん、那須まで行くんでしょう?」
「え、まあそうなんだけど穂積がなんで?」
「そこで僕の出番だよ!」
「いや、重ねて聞くけどなんで?」
「儂から説明しよう」
びっくりした、大僧正、なんで今まで気配消してましたか。こんがらさんは衛人とスライムちゃんを交互に見て理解しかねるって顔してる。こいつらの関係よく分かりませんよね。
「そこな穂積はアメノトリフネの加護を受けておっての」
「大僧正のおかげでやっと加護を使えるようになったんだ! どこでも飛んで行けるからえいちゃんは便利に使ってくれていいよ! えいちゃんの欲しがってた都合のいい女だよ!」
自分に都合のいいロリを欲しがってたのか。改めてこいつ最低だな。
「斯様な腐った心根の者が寅吉でよろしいのか、大僧正」
「神仏の思し召しですのでの」
ホッホと笑う大僧正。義憤にかられてるこんがらさん。ロリに迫られてる衛人。捕食する勢いのスライムちゃん。
毎度お馴染みのカオスさんが仕事しまくってくれてます。いい加減こういうのやめてほしい。
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「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。
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