肆之肆拾玖 モブ、誰か降ろされると思ったけど結果的に胃が痛い
なにやら唱えておられた大僧正の前に小柄な子供の仏様みたいな人が現れた。光って威厳あるのはみんな仏様ということにしてます。
こういうの、前にも見たことあるぞ。あれは江戸城の鼠退治のときだ。
「矜羯羅童子、菩薩のお呼びにより馳せ参じましてございます」
「矜羯羅殿、九尾の欠片が目覚めそうじゃ、すまぬが合力願えぬか?」
「主より菩薩殿には惜しまず力を貸せと仰せつかっております。どうぞ存分にお使いください。む? 戦う加護を持つ者が居りますな、これが彼の寅吉とやらで? それに……この神威に溢れた……ええと、その、とても普通に見える者は?」
戦う加護持ちってのは衛人のことですね。普通なのは俺です。見た目と神威が釣り合わなくて軽く戸惑ってらっしゃる。神威って俺には見えないから、モブ、よくわかんない。
「なあ衛人、この方みたいなの、鼠のときに日照さんが呼んでなかったっけ」
「護法ですね、この方はとんでもなく位高そうですけど」
「そうだの、矜羯羅童子は不動明王の眷族であるからの」
不動明王って神仏の知識のない俺でも知ってる有名仏じゃん。なんか怖い顔の炎背負って剣持ってる仏様? じゃん。そんな方の付き人みたいなのも呼べるの? てっきり俺にキツネに言う事聞かせるための神様を降ろすのかと思ってた。
「若一の管轄は稲荷神だからの、七海に宇賀野御霊を降ろすわけにもいくまい」
「なんで降ろさなかったんですか?」
「なに、宇賀野御霊とは空海時代に縁があっての。あの方なら必要とあらばご自身で顕現なさるじゃろう。七海に負担をかけるまでもないことよ」
ニコニコと微笑む大僧正。気遣ってくださってありがとうございます!降りてくるの、アレ結構気持ち悪いんすよ!
「ところでロリ狐巫女さんはどうなさるおつもりですか? まさか不動明王の炎で焼き尽くすとか言わないですよね?」
不動明王の付き人のこんがらさん?をめっちゃ睨んでる衛人。
落ち着け、大僧正のことだからなんか考えがあるんだろうよ。
いいからお前はロリのことなら全方向に喧嘩売る癖やめろ。ほら、こんがらさん睨んでらっしゃるじゃん。やめろ、太刀に手を掛けるのやめろ。
こういうことで胃が痛くなるの、平賀さんの芸風なんだから俺にさせないで。
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