肆之肆拾伍 モブ、天人の置き土産に困惑する
ご無沙汰しています。新作の準備をしつつ更新再開していきたいと思います。
「そうか、保食神の神使よ、邪魔をした。寅吉よ、これより後に天人が貴様を煩わせることはないだろう。これを受け取れ」
そう言って帝釈さんが網を残していった。え? 網? 編み目の一つ一つに宝石が結んであってキラキラして綺麗だけど、これなんなの?
「え、これなんなんですか?」
聞こうとしたらもう帰ってらした。せっかちさんだなあ、居座られても困るけど。
「やれ、七海よ。仏縁の天人は去ったようだ。故に煮干しを寄越せ」
はいはい、帝釈さんも帰ったようですね。猫神使、ありがとうございます、たんと召し上がれ。
にゃむにゃむ言いながら煮干し食べる猫神使はかわいいなあ。
チュールあげる猫飼いはこんな気分なんだろうか。昔、猫飼ってたときはチュールなんてなかったからね。
煮干し食べてる猫神使見てると幸福ホルモンがどばどば出ますよ。脳汁垂れ流しですよ。
「お、終わったっぽいな。七海、お疲れさん」
平賀のおっさんがのんびりした顔でうちに入ってきた。さては何が起こるか、大僧正に聞いてやがったな?
「おかげさまで帰りましたよ。これで俺は天人の器にならなくていいんですよね? あと、こんなの渡されたんですけど、これ何か知ってます?」
平賀さんが帝釈さんの置き土産を手に取ってしげしげと見る。
「どれどれ……これは……網だな」
「網なんですよ」
「これはどなたが置いてったんだ?」
「帝釈天です」
あ、目が点になってる。さては帝釈天さん、あんた相当なお偉いさんだな? 知らんけど。
「七海、それ持って今すぐ寛永寺行くぞ」
「いや待って。今から旧キット改修するとこなのに」
「いいから急ぎやがれ、それ天界の宝物だぞ」
このキラキラした網が? なんでそんなの置いてったの、帝釈天さん。そんなの長屋に置いとけるわけないじゃん。
「さっさと大僧正に奉納するぞ。それはさすがに寅吉の扱える範疇超えてるわ。なんつうもん置いてってくれるんだ」
「いや旧キット……」
「ああわかったわかった、根付の納品は遅らせていい。きっちり休日取れるように調整しとくから、今は寛永寺行くぞ」
言質もらいました! まあ決められてる納期もないからこっちの都合でどうとでもなるんだけど。納品できなくてもお手当もあるんだけどね、期待には応えたいじゃん? 俺の作った立体が売れたのご隠居さんのお陰だし。
「猫神使、それでは行ってきますね」
煮干しで満足したのか、目を閉じて香箱組んで尻尾を揺らして返事してくださる。
帰りに鰯の天ぷら買ってきてあげよう。
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「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。
評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。




