肆之参拾捌 モブ、引き続き摩利支天が降りたまま
「ここが八番の屋敷か」
ズカズカと衛人の屋敷に摩利支天が乗り込んでいく。俺の体で。ちょっと待って、せめて衛人に会ってから出てきてください、勝手に入っちゃだめだってば。
「アレ、七番様? 今日はどのような用向きで?」
ほら、掃き掃除してたお手伝いのお千代さんが驚いてらっしゃるじゃん。人の世の常識に合わせてよ、摩利支天様よ。
「女、八番は何処か」
ああ、もうお前引っ込んでろ。なんでそんな高圧的なんだよ、特殊な神仏案件なんか一般お姉さまのお千代さんが分かるわけないだろがよ。
「む、ならばこの場は任せよう」
最初からそうしてろ。ほら見ろ、完全に不審者を見る目で見てらっしゃるじゃん。貴重なお姉さま枠になにしてくれてんだ。
「あー、ごほん。すいませんお千代さん、ちょっとこの陽気でおかしくなってまして、季節の変わり目はどうにも不安定でいけませんねウヘヘ」
やけくそで笑う俺に引きつった笑顔を向けるお千代さん。すいませんすいません、俺のせいじゃないんです。強いて言えば体質のせいなんです。俺は悪くないんで嫌わないでください。てめえ摩利支天、俺の恨みはマリアナ海溝より深いと知れ。
(まりあなかい? いや、恨まれたのは分かるが、ここは天海菩薩には内緒にしておくというのはどうか?)
どうかじゃねえ、できねえよボケ。逐一、全部、隅から隅まで大僧正に報告するから覚悟しとけ。
(それはよろしくない。よろしくないぞ七番。ここはなにとぞ穏便に、ひとつ)
そうこうしてるうちに道場に着いた。ズガガダンドカ、と相変わらず剣の稽古にあるまじき音が聞こえる。今日もやってんなあ。相手はクマラさんかな。
「あれー七海くんかー、いや、これ……違う? 中に座すのはどなたでいらっしゃる?」
ここで摩利支天さんがドヤ顔で表に出てくる。日照さんに看破されたからって嬉しそうに出てくんな。
「我は摩利支天。八番に加護の使い方を教示するため、この器に降りし者なり」
器って言うな。地味に傷つくんだぞこの野郎。好きで器になったわけじゃねえ、って言っても現状どうしようもないのはわかってます。
お姉さま神様よ、なんでこんなプレイを俺に課されましたか。罰ゲームですか? 根付け作るのサボって旧キット改修に心奪われてたことに対する罰ゲームですか?まだパーツも刻んでないのに。
「摩利支天様が加護を賜った英雄の寅吉に会いに降りて来られた、と?」
「然様。八番は我の加護を使えておらぬ故、天より指導に来てやった」
「ありがとうございます。八番も我らも歓迎いたします」
魔乳お姉さまの日照さんが俺の体に平伏してる。
お願いだから衛人周りの問題はそっちだけで解決して。頼むから俺を巻き込まないで。
お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。
「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。
評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。




