表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このEDOはフィクションです  作者: 石依 俑
111/127

肆之参拾陸 モブ、また何かが降りてきた

 俺にしては珍しく、自分から御隠居さんちへと納品に向かってる。旧キットに集中し過ぎて体が凝ったせいか、散歩欲が出てしまった。ギラギラのお日様眩しい。

 やっぱり自転車欲しいな、誰とも話さずに何十キロも走って運動できるんだから、心身ともに引きこもりになりつつある俺にピッタリだと思う。持ってきたら怒られるからしないけど。


「きゅうりの寅吉よ、息災か」


 誰がきゅうりの寅吉だよ。河童が天下の往来で話しかけてくるんじゃねーよ。お前は橋の上でネトネトしとけ。


「河童、なんで出歩いてんの? 頭の皿乾かない? むしろそこらで乾いといてくれない?」

「江戸はそこかしこに水道の井戸があるので心配ない。今日はきゅうりの寅吉はきゅうりを持っていないのか」


 いや、だからきゅうりの寅吉じゃないよ、今はきゅうりの時期じゃないし。

 気がつくと周りには人がいなくなってる。この野郎、また変な術使ってやがるな。


「それでわざわざ出歩いてどこ行くんだよ」

主人あるじの住む長屋だ」


 うちかよ。


「なに? さよちゃんに呼ばれてんの?」

主人あるじに命ぜられて大僧正に協力して怪しげな連中を監視している。近くには彼法かのほうを見つけたので報告した」


 衛人がカチコミかけたのはこいつの情報かよ。なんで皆こんな全身緑色が見えないのかね?


「そうか、まあ気をつけてな」

「ところできゅうりの寅吉よ、その体はどうした」


 またその話かよ。もういい加減飽きてきたから手短に済ませようと口を開く。

 ……開かねえ。体の自由が効かなくなってる。え、また? また誰か降りてきたの?


「ふむ、これが丹生都比売にほつひめの用意なされた器か。…なんだこの河童は」

「河童ではない。名のある水虎の河太郎である。なにやら尋常の気配ではないが、御身はどなたか。なぜきゅうりの寅吉に降りて来られたか」


 相変わらず名前のあることにこだわる河童である。こいつ基本、初対面にはお決まりの対応なのかね? そして降りてきたのは誰かというのも今の俺ならわかる。こういうの、分かるもんなんですね。


「寅吉八番に加護を与えた摩利支天である。そこな水虎よ、寅吉八番を知らぬか」

「御身が降りられたのは寅吉七番である。八番と知己であるとは聞いているが」


 河童、なに普通に会話してんだよ。なぜかこの方のプロフィールが理解できたけど、これはおれが器になってるからだろうか。

 信長さんは天人だったけど、摩利支天さんは戦いの神みたいなお人じゃん。間違っても俺みたいな人間と縁のある方じゃないじゃん。そんで衛人に軽くイラついてらっしゃるじゃん。


 憑依されると感情も伝わるんだね、すごいね!


「我は寅吉八番に力を貸しているが、あやつは我の力の一分ほども使えておらぬ。いい加減、見かねた故、直接指導に降りてきた。水虎よ、寅吉八番の元へ案内あないせよ」


 衛人にイラついたから俺に降りてきやがったらしいよ、この摩利支天様は。

 前も思ったけど、この世界、俺の意志って無視され過ぎじゃない?


「器の意思など関係ない。地上に降りるのに便利になったことよ」


 人をフロア直通エレベーター扱いすんのやめてもらえません?


「八番の所在は知らぬが、主人あるじなら知っておろうぞ」

「では水虎よ、お主の主人あるじに聞こうぞ」

「心得た」


 なんで河童は摩利支天と対等に話してるの? そんで俺は今出てきた長屋へ帰らなくちゃいけないの?


 くそう、たまに自発的に外に出たらこれだよ。俺は引きこもってるのがお似合いなんですか。お似合いなんですね。もうお外出ない。

 お急ぎでない方、毛色の変わった此の物語をまだ読んでも構わぬとお思いの方、向後に期待してやろうという方、よろしければ更に下にスクロールして広告下の白星を「ぽちっと」押してやってくださいませんか。


「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。


 評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ