肆之参拾壱 モブ、八番のカチコミ話を片手間に聞く
「いやー、人間を制圧するの初めてだったから緊張しましたよー。あいつら半分裸だし、おかしな臭いのするお香焚いてるし、変な術使ってくるし。でも楽しかったなー」
はい、後日、彼法にカチコミかけた衛人から話聞いてる俺です。なんで嬉しそうにテカテカしてるの、こいつ。
「多人数相手に真剣使うなんて戦場みたいで大興奮ですよ、七海さん、聞いてます?」
聞いてるよ。作業中だから触らないで。怪我するから、俺が。
話を聞くに彼法の乱行現場にカチコミかけて大興奮だったらしい。
改めてこいつおかしいな。普通にしてりゃ、礼儀正しい強めのロリコンなのに。普通にしててもダメでしたね。
ちなみに彼法が潜伏してた場所は新宿のうらぶれた寺院跡だったそうな。
「まあ剣の素人相手だから峰打ちで沈めていったんですけどね、そうこうしてる間になんか髑髏本尊が完成したらしくて。荼吉尼天が顕現しちゃったんですよね。もう爆笑ですよ!」
なにが楽しいのかゲラゲラ笑う衛人。お前、道徳的に色々おかしいって自覚ある?
「荼吉尼天なんて相手は神格みたいなもんじゃないですか、仕方ないから七星剣を召喚して眉間スコーンと抜いて首飛ばしてやったんですよ。そしたら普通に髑髏に戻ってやがんの。ウケるー!」
引き続き爆笑する衛人。なにがそんなにおかしいの? そんで荼吉尼天とか七星剣とかなに?
「七海くん、荼吉尼は人の願望を善悪問わずに叶える天部よお。彼法の本尊ねえ。七星剣は厩戸の皇子が履いてた神剣ねえ。この子、七星剣に気に入られちゃったのお」
ムチムチお姉さまのクマラさん、ご説明ありがとうございます。報酬は俺の体でどうでしょう?
「いらないわねえ。成長途中なら受け取ったわよお」
そうですか、本当にショタスキーなんですね。残念です、こめかみに血が滲むほどに残念です。おのれ衛人め。
話戻しますけど、衛人は剣に気に入られた、と? それに確認ですけど厩戸の皇子って聖徳太子ですよね?
「そうねえ、何故かこの子、剣に好かれるみたいなのお。布都主の加護のせいかしらあ。七星剣は四天王の加護がかかってるんだけどお、その上、北極紫微宮の紫微大帝…道教の最高神ねえ、その神の加護もあるみたいなのお」
待って。衛人って鹿島神となんか仏様の加護と二つありましたよね? それに道教の神様の加護まであるんですか?
「仏じゃないけど戦神の摩利支天よお。七星剣は夢に聖徳太子が出てきて託されたみたいなんだけど不思議ねえ」
そうだそうだ、摩利支天だ。え、聖徳太子が夢枕に立ったの? なんでそんな歴史的人物が。
「聖徳太子と名乗る人から破邪の剣を託すって言われて、朝起きたら七星剣が枕元にあったんです。土御門さんに相談したら『破邪顕正の志の下に顕れる剣なのでありがたく受け取りなさい。神聖な剣なので普段はお祀りしておけば、呼んだら手元に来る』って」
なんだその聖剣みたいなの。呼べば来るって昔飼ってた柴犬以上じゃねえか。あいつらホント呼んでも来ねえ。そのあとに飼った猫は呼んだら来たのに。それ以来、うちの家族は猫派です。
「そんでまあ泰山府君祭の簡易バージョンみたいな壇作ってそこに祀ったんですけど、鹿島神と摩利支天と紫微大帝の加護がコンフリクト起こしちゃって手加減できなくなったんですよ」
加護って同時に使うとコンフリクト起こすんだ。カーソルがグルグル回ってイライラさせられるの?
「で、なかなか使えなかったんですけど、今回やっと使えました。相手が高位存在だから手加減なしで眉間スコーンの首チョーンですよ。正直手応えありませんでした」
こいつ順調に人外になってんなあ。英雄豪傑の寅吉が俺じゃなくて良かった。
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「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。
評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。




