肆之参拾 モブ、神田明神が召喚されそうなので長屋に帰りたい
「はー、終わった終わった。ご本人が言う以上、信長さん復活はなくなりましたね。ね、大僧正」
いやー良かった良かった。彼方の連中も本人にその気がないのに復活は出来ないだろう。
はい、この問題解決! 平和に終わってなによりです。
「大僧正! 彼方どもが秀吉を召喚するようです!」
「うわ! 絵に描いたような忍者が来た!」
すげえ忍者っぽい人が駆け込んできた。鎖帷子、草鞋履き、背中に背負った忍者刀。
駆け込むや否やバッタリ倒れてる。息してる? あ、胸が動いてますね、生きてるね。
そんでなんで? 狙いは信長さんじゃないの? 秀吉さんを復活させてどうするの?
「盗み聞くに秀吉を捧げて武門の魔王を召喚する、と」
息も絶え絶えに報告する忍者っぽい人。昼間からそんな格好してたら目立ってしょうがないんじゃない?
「武門の魔王? はて…?」
珍しく大僧正が悩んでる。半分仏様でもわからないことがありますか。
「彼奴等まさか将門公が狙いじゃったか!」
びっくりした。なに? まさかどって言った?
将門さん? って神田の守り神だっけ。あの方も魔王なの?
「まつろわぬ民の旗頭ぞ。ご自身を魔王とは呼んでおられぬが、皇の血を引くだけに扱いが難しい。おのれ彼方奴、江戸の守り神の力をそのままに怨神に転嫁するつもりか」
はい、相変わらず大僧正が何言ってるかわかんない俺です。なんだろう、将門さんって神田明神ですよね。神田明神が祟り神になるんですか?
「てか、将門さんて初めから祟り神ですよね? そのあと守り神になったイメージですけど、今さらっちゃ、今さらですよね?」
沈黙が降りる。
みんな、あ、そうだったね、みたいな顔してる。
「あーゴホン。とは言え、武蔵国の守り神であることに変わりはなし」
「大僧正、これはどうすれば?」
平賀のおっさんが尋ねる。どうしようもないよね実際。どうにかできるんだろうか。
「八番に彼方を強襲させよ」
大僧正らしくもなくカチコミかける方向を選ばれました。穏やかじゃないですね。
でも衛人はそういうの得意そうだもんね。あいつ深く考えないですもんね。
おっかない話が決まったところでモブはそろそろ退散します。
「おい七海、どこ行くつもりだ」
「七番君、ここは最後まで見ていくとこやで」
いや、そんなこと言われましても。
俺にはどうしようもありませんでしょ? 帰る理由ならちゃんとあるんですよ。
ご隠居さんに根付を急かされてんだよ。納期を遅らせないでください。
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「ぶっくまーく」などもお気が向きましたらお願いいたします。
評価をいただければ、七海が喜んで通報をものともせずに五体投地でお礼に参ります。




