表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/63

35.巨大紋白蝶

キャベツとキュウリは育て方を間違えてしまったので、作り直していた。


オオバは、繁殖力が強いようで、根元から引き抜かなければ、次々と新しい葉を繁らせた。


セロリは、傷みが早いので、収穫して、すべて村の人に配った。

すると、あるご婦人が酢漬けにすれば、日持ちすることを発見し、教えてくれた。

次回の参考にしようと思う。


そんなとき、事件が起きた。


南のサングーン山脈の方から、大型の蝶が数匹飛んできたのだ。


村人は当然パニックになったが、ミリアさんたちが帰ってきていたことを知ると、各自、家の中で待機することとなった。


蝶は、キャベツ畑の上で旋回し始めた。

羽ばたくたびに、強風が襲ってくる。


カリナが炎の球を投げつけたが、空を飛んでいるので、あっさり避けられた。


「ジェイク君、あの蝶どもは、ゴルリディアがらみだな?」


「はい、スキルが使えないので、そうだと思います!」


「あんた、重さをコントロールできるんでしょ? どうにかしてよ!」


(重力操作)

と念じる。


すると、蝶たちはみるみる落下してきた。

しかし、羽ばたきをよけいに激しく繰り返すので、強い風が巻き起こる。


「ありがとう! ジェイク! あとはあたしたちがなんとかする!」


そう言うとユリアが、地面でバタついている蝶たちを切り刻んでいく。


予想どおりゴルリディアが現れたが、カリナの炎とミリアさんの剣技にはかなわなかった。


畑は多少荒らされてしまったが、仕方ない。

生きていれば、またやり直せる。


村人たちも家々から出てきて、ミリアさんたちを褒め称える。


ミリアさんたちが解体している間、なんとか収穫できたキャベツとキュウリを台所へ運びこむ。


キュウリを半分に折ってかじってみると、とてもみずみずしい。

そのまま食べてもいいし、塩を振ってたべても美味しかった。


キャベツも半分に切ってみる。

柔らかい葉と硬い芯があり、葉の部分はそのままでも十分に甘い。

芯の部分を薄く切り、食べてみると、やっぱり甘みが強かった。


領都で食べた料理を思い出し、芯の方は煮ると良いかもしれないと思った。


雪で冷やしていたワイルドボアの肉を、ステーキのように焼いた。

キュウリはスティック状にして、キャベツを刻んで、食事の準備をしていると、ドタドタと足音が聞こえてきた。


「ジェイク! 今日は何?」

「カリナ! 自分の家で食べようよ!」


暴れ馬に引きずられるように、ユリアとミリアさんもやってくる。


そうなるだろうと、五人分作っているから、問題ないんだが。


「だって、ウチのごはん、おいしくないんだもん!」


「カリナ、お母さんが悲しむぞ!」


「ミリアさん、聞いてくださいよ! ウチのママ、ジェイクから芋をもらってこいとか、カボチャをもらってこいとか言うんですよ? 図々しいと思いません?」


ミリアさんは何も言わず、顔を引きつらせている。


あぁ、カリナのこの性格は、お母さん似なのだと納得する。


「みんなの分も作ってるから大丈夫だよ!」


「さすが! ジェイク! 誉めてつかわす!」


「いや、だから、なんで上から目線?」


「残念だからだ!」


「じゃあ、カリナはなしね?」


ビタンッ!


カリナが床にはりつき土下座をする。


「許してくだせー領主様、ほんの出来心でごぜーますだ」


カリナが意味不明な演技を始めた。


ちょうど家に戻ってきて、その姿を見たフリンは、見てはいけないモノを見たような顔になっていた。


***


「やはり、サングーン山脈とノボルト火山が怪しいな」


巨大化した蝶が南側からやってきたことを伝えたところ、ミリアさんがそう話してくれた。


「領兵の調査隊も、ギルドの調査隊もサングーン山脈がゴルリディアの発生地点だと考えているようだ。だが、あそこは未開の地。魔物が出てきたら討伐する、という対症療法しかできない」


「俺の村は、北の方にあるのに、なんでやられたんだ?」


「魔物が必ずしも道がある所を進むとは限らないだろう? ボルドー辺境伯領は広い。サングーン山脈から、ファルサック村の間に、切り開かれていない森などがあるだろう?」


「そっか! エサを食べながら大きくなっていくんだから、食べ物のない街道をやってくるより、エサが豊富な森を抜けてきたのか!」


僕は、気になったことを尋ねた。

「ミリアさん、もし、大挙して魔物がやってきたら、どうなるんですか?」


「最悪の場合、このマロネ村は壊滅するだろう。良くても、魔物討伐の最前線になる可能性は高い。魔物がどのルートでやって来るかなんて、想像もできないからな……」


「ジェイク、石垣ってあの高さしかできないの?」

話を聞いて不安そうなユリアが聞く。


「いや、最初は間違って、領都の壁よりも高いのが……そうか! 南側に城壁を作ればいいのか!」


「「「「?」」」」

四人が見つめる。


「いや、岩さえあれば結構高い壁を作れるから、村の南側に城壁を作ってみよう!」


「ジェイク君、ほ、本当に出来るのか?」


「ええ、たぶん……」


***


マロネ村の南、数キロのところで街道は途切れている。


フリンやミリアさんのアドバイスによると、壁の外側に、深い溝を掘ると良いらしい。


僕は東西に歩きながら、岩石を浮かび上がらせる。

ひたすら岩石や土を掘り出しては、できるだけ深い溝を作っていく。


次に岩石についた泥を洗い流し、鉱石を選り分けていく。

選り分けた石は、女性陣にスイの荷馬車へ集めてもらった。


(城壁組成!)


みるみるうちに岩や石が積み重ねられていく。

領都の壁よりも高く、頑丈な石の壁が出来ていく。


僕たちは半日かけて、東側へ10キロ、翌日の午前中に西側へ10キロの城壁を完成させた。


もちろん、回り込まれたり、空から侵入される可能性はあるが、少しでも村を守れるようにしたかった。


お手数ですが、是非とも評価をお願いいたします。


少しずつですが、定期的に更新できるよう、頑張ります。


誤字・脱字や読みづらい箇所があれば、お知らせください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ