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21.カオス

3日目

カボチャ畑に

(成長促進)

(降雨調整)

を施すと、さっそく芽が出てきた。


荒れ地だったところの雑草を引き抜いてまわる。

かなり広い面積だったので、腰が痛くなった。


4日目

スイが近づいてきて

「ご主人様、食べられる草がなくなりました」

と言うので、昨日引き抜いてしまった草の中から、スイに選んでもらい、食べさせた。


確かに、家の回りの草をほとんど食べ尽くしていた。

馬に干し草を食べさせる理由がようやくわかった気がする。

食べる量がめちゃくちゃ大量なのだ。


「後でスイと話そう」


カボチャ畑に

(成長促進)

(日照調整)

(降雨調整)

をかけると、蔓がスルスルと延びていく。


荒れ地はリンゴに合うように

(土壌改良)

を念じながら耕していく。


リンゴの苗木を5メートル間隔で10本ほど植えた。


今日の作業を終え、スイを呼ぶ。


「はい、ご主人様。どうされましたか?」


「すまない。君たち馬がそんなに食べるとは思わなかったから、これからどうしようかと思って……」


「……」

スイがモゾモゾしている。


「ん? どうした?」


「ご主人様! ごめんなさい!」


「なんだよ?」


「ご主人様が成長させてくださった草が、あまりにも美味しくって、我慢できずに食べちゃったんです……」


「は?」

僕はスイの言葉にびっくりしてしまった。

まさか、スキルが雑草にまで影響が及ぶとは考えてもいなかったからだ。


栗や芋は、人間が食べる作物だから、美味しくなったのだろう、くらいにしか考えてなかった。


「先ほど、あちらで食べた草は……あまり、その、美味しくなくって……同じ草なのに……ごめんなさい!」


スイが目を潤ませる。


「僕の方こそごめんな。余計なことをしちゃって……」


「いいえ、ご主人様は何も悪くありません! 私が、太ってしまうほど食べたのが悪いんです!」


「へ? 太ったの?」


モゾモゾするスイ。


「ま、まぁ、いいや。今回作った石垣はわかるかい?」


「はい」


「あの石垣の内側に生えている草食べていいからね。」


「はい……」


スイのテンションが下がる。


「どうした?」


「いや、あの、普段はそれでいいんですが……」


「?」


「頑張った時は、ご褒美で、あの草を……」


「あぁ、わかったよ。スイ。頑張ったご褒美な!」

僕はスイの頬を撫でてやった。


ヒヒーン

スイが嬉しそうにいなないた。


5日目

カボチャにもリンゴにも

(成長促進)

(日照調整)

(降雨調整)

をかける。


カボチャの黄色い花が咲いた。

リンゴの苗木は、膝丈から顔の高さまで成長した。


畑の奥の方に作っておいたスイのフン置き場を、穴を掘って広げる。

スイは自分でそこに用を足しに行くようにしていたので、ここ数日の爆食の結果、足りなくなったようだ。


まあ、後で肥料にもなるから、何も言わずにおいた。


6日目

前日と同じ作業を繰り返し、カボチャは小さな実をつけ、リンゴは枝分かれしながら、屋根の高さまで伸びた。

雑草も勢いよく伸びてくるので、スイの好きな草を残して、後は片っ端から草むしりをする。

腰が痛くなる。


7日目

さらに同じ作業を続ける。

カボチャの実が僕の頭くらいになる。

リンゴは白い花をつけた。


カボチャを一つ収穫し、自宅で半分に切る。

種がビッシリついたワタを取り除き、薄く切ってスイに食べさせた。


ヒヒヒヒーン

村中に響くほど大きないななき。


「どうしたんだ?」


「ご主人様あああっ! 美味しいんです! 美味し過ぎるんです! 草なんか食べられなくなるんです!」


「じゃあ、ご褒美はこれにしようか?」


「はい! お願いします! 何でもします! ムチでも何でもふるってください!」


「落ち着け、スイ。何も、そこまで……」


「はあはあ……すみません。取り乱しました。頭を冷やして来ます」

そう言って、とぼとぼ石垣の方へ向かった。


僕は、カボチャを乱切りし、半分を蒸し器に入れ、半分をバターで煮込んだ。


バターの鼻をくすぐる、美味しそうな匂いが家の中に充満する。


そろそろできあがるかなと思っていると、


バターンッ!

と玄関が勢いよく開いたかと思うと、そのままドアがこちら側に倒れてきた。


「あっ?」

仁王立ちのカリナと、その後で呆然とするユリアとミリアの姉妹。


「えぇぇっ?」

ドアを壊され衝撃を受ける僕。


「ご主人様どうしました?」

あわててやってくるスイ。


カオスだ。

お手数ですが、是非とも評価をお願いいたします。


少しずつですが、定期的に更新できるよう、頑張ります。


誤字・脱字や読みづらい箇所があれば、お知らせください。

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