12.ギルドをはしごの旅
「最後は《ファーマー》のジェイク」
「はい」
スキルを使うといっても、こんな時はどうすればいいのだろう?
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ファーマー レベル1
天照大神の加護?
降雨調整(小)
日照調整(小)
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たぶん、このスキルは、地下ではあまり意味がない気がする。
他にないかな……
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ファーマー レベル1
炎帝神農の加護
成長促進(小)
飼育調教(小)
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やっぱり、ここではつかえないなぁ……
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ファーマー レベル1
大地の神の加護
重力操作(小)
土壌改良(小)
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これならいけるかも?
(重力操作!)
「「「「!!!」」」」
全員がゆっくり宙に浮く。
「きゃあああっ!」
「うわあああっ!」
「ちょっと待て!止めろ!止めろ!」
僕があわてて、
(解除!)
と念じると、
ドサ
ドス
ドス
ドン
四人が尻餅をついた。
みんながジットリと睨んでいる。
「なんか、ごめん」
「本当に、なんなんだお前たちは……というか、カイル様の勇者の件といい、お前たちといい、今年洗礼受けたやつらはおかしくないか?」
「「「「すみません……」」」」
「いや、お前たちのせいではないというのはわかっている。私も大人げなかった。許してくれ」
ドナルドさんは、そういうと、書類に何かを書き込み、
「お疲れ様。これを持って受付に行ってくれ」
と書類を渡してくれた。
再び上へあがり、受付へ向かう。
「マジか……」
受付嬢は書類を受け取ると、一瞬固まったが、すぐにギルドカードの発行を行ってくれた。
「さ、早速、なにか受注されますか? 今日はあまり初心者向けのものは残っていないかも知れませんが、あちらの窓口でご確認ください」
冒険者カードを渡しながら、受付嬢が教えてくれた。
「「「「ありがとうございます」」」」
切り込み隊長のカリナが
「ちょっと見てみようよ! 宿代くらいは稼ぎたいよね!」
「お前、魔法使えねーじゃん」
「何よ! あんたのヅラ当ても使えないじゃない!」
バイロンに大きなブーメランが突き刺さっていた。
僕とユリアは、仲睦まじい(?)二人を置いて、依頼掲示板を見る。
常時依頼と護衛依頼くらいしか残っていない。
「おい、おまえら、今から依頼を受けようってのか?」
受注者窓口のいかつい担当者が言う。
「今日、洗礼受けたばかりで、ろくに装備も揃ってないんだろ?」
「「「「……はい」」」」
図星の指摘に凹む。
「しゃーねーな。ちょっとカード見せてみろ!」
四人で黙ってカードを差し出す。
「あーこりゃ厳しいな! 今日はタイミングが悪すぎだ! お、そうだ! 商業ギルドに行ってみな? おまえらにもできる依頼があるかもしれねぇ」
見た目に反して親切なおじさんだ。
「わかりました。商業ギルドに行ってみます」
カードを受け取り、冒険者ギルドをあとにした。
「あたりまえよね! ユリアは剣をもったらすごいけど、剣なんてないし……私も魔法が使えるまでレベルをあげないといけないし……」
「剣っていくらくらいなのかな?」
「さあ、どれくらいかかるんだろうね」
「でも、バイロンはちょうど良かったんじゃないか? 商業ギルドでも登録しなきゃいけないんだろ?」
間もなく、商業ギルドに到着する。
冒険者ギルドと同じような建物だ。
中に入ると、正面には「農産物」「畜産物」「鉱石・魔石」などのカウンターがある。
左側に「登録受付」「依頼受付」「各種案内」があり、右側に「銀行」がある。
四人で話をして、僕とバイロンは登録を、ユリアとカリナは依頼を探すことになった。
まだ銀行を利用するほど稼いではいないので。
「あの、登録をしたいのですが」
と受付嬢に伝え、二人で冒険者カードを差し出した。
「はい、お預かり致しますね……えーと、バイロンさんは商人として、ジェイクさんは生産者として登録なさいますか?」
「はい、それでお願いします」
「じゃあ、俺も」
「はい。かしこまりました。しばらくお待ちください」
受付のところで待っていると、ユリアとカリナがやってきて、
「ねえ、領都から出てすぐの所にあるっていう、薬草や木の実を採りに行かない?」
「あまり遠くだと、外は暗くなるだろ? 大丈夫か?」
「危険だと思ったら、すぐに領都の門番の兵士さんに助けてもらえばいいんじゃない?」
「バイロンさん、ジェイクさん、登録が終わりましたよ」
受付嬢が僕たちを呼ぶ。
「「ありがとうございます」」
カードを受け取りお礼を言う。
お金がないことには、何も出来ない。
背に腹は代えられないので、領都の外に出ることになった。
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