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10.はじめてのギルド

僕たちは領都の大聖堂を後にした。

もう既に、日が頭の上に上っている。


村を出る時に持って来ていたわずかばかりの路銀では、領都の宿屋には泊まれない。


「このあと、どうする?」

三人に尋ねるが、うつむいたままだ。

おそらく、洗礼で思い通りの結果を得られなかったのだろう。


「広場に屋台が出てたよね。そこでちょっと腹ごしらえしない? みんな、お腹空いたでしょ?」

三人が互いに顔を見合わせると、


ぐ、グゥゥ~


四人のお腹が同時に鳴った。


「「「「ぷっ! あははははは!」」」」


屋台で何本かの串焼きとパンを買い、広場にある芝生の上に座った。

それぞれが買ったものを口にした。


「モグモグ、それで、ジェイク、あんたはどうだったのよ?」

いきなりカリナが尋ねてくる。

「もー、カリナ、口に食べ物を入れてしゃべらないの!」

「あはは、僕は《ファーマー》だった」


「「「……」」」

三人が黙って目を逸らす。


「いや、大丈夫だよ? なんか、ごめん。気を遣わせて……でもね、司教様が僕に仰ったんだ!」

「なんて?」

やっぱり切り込み隊長はカリナだ。

ユリアもバイロンも、興味はあるが聞きづらい様子だ。


「神様は気まぐれだけど、理由があって授けてくださったはずだから、それを考えなさいって!」

「司教様がねぇ……」

僕もみんなのことは気になる。

「ユリアはどうだったの?」

「あ、あたしは……」

「ユリアは《剣士》、私は《魔導師》、バイロンが《商人》!」

「カリナ!」

「ちょ、勝手に言うなよ!」

「何よ? スキルは個人情報だけど、職業は違うでしょ?」

「でも……」


「ぼ、僕が聞いたのが悪かったよ。ごめんね。だけど、《剣士》と《魔導師》ってかっこいいよね!」


「「「……」」」

再び、三人が黙って目を逸らす。

彼らも期待していたものとは全く違うのだから。


「あ、そうだ! このまま、ついでにギルドに登録しに行かない? バイロンも商業ギルドにさ! 僕も、一度、ギルドに行ってみたかったんだ!」

「あ、あたしはいいけど、ジェイクは……その……」

「あぁ、登録できなくてもいいんだ! みんなが居てくれたほうが、心強いし!」


「じゃあ、行ってみようぜ! もしかしたら、ちょっと稼げるかもしれないしな!」

「あんたは、さっきまであんなに凹んでたくせに、もういっぱしの商人になった気でいるの?」

「うるせー! お前も絶望的な顔してたじゃねーか!」


「まあまあ、落ち着いて! きっと、みんなが授かったものも、きっと理由があるんだよ。神様からの贈り物だから、ありがたく活かさせてもらおうよ!」


「うん、ジェイクの言う通りだと思う。カリナもバイロンも、大人になったんだから、これから頑張っていかなきゃね!」

二人は顔を見合わせ、互いにそっぽを向いた。

幼なじみだからこそ、そうなってしまうのかもしれない。


僕たちは四人で冒険者ギルドへ向かった。


立派な建物に、分かりやすく「冒険者ギルド」と看板が出ている。


僕が四人の先頭になり、ドアを開ける。

窓口のカウンターは、入口の正面と左右にある。


正面のカウンターには「依頼受付」「登録受付」、右側のカウンターには「受注者窓口」、左側のカウンターには「各種案内所」と書かれている。


正面のカウンターに進むと、受付嬢が

「みなさんは、今日洗礼を受けたばかりですね?」

と聞いてくる。


「「「「はい!」」」」


おそらく今日は、そういう人たちばかりだったのだろう。


「では、手続きをしますので、この書類に必要事項をご記入ください。ご記入が終わりましたら、こちらへお持ちください」


「「「はい」」」


「あの、俺、《商人》なんですけど、どうしたらいいですか?」


「大丈夫ですよ。この領都では、商業ギルドや職人ギルドなどと情報共有を致しておりますので……」

「へぇー便利ねぇ! よかったじゃん、バイロン」


「ボルドー伯のご意向なんです」

受付嬢が言う。


「他の領地では違うんですか?」

「はい。すべてのギルドで情報共有しているのは、ここだけだと思います。もちろん、冒険者ギルドは、他の領地でも、お互いの登録者の情報共有は致しておりますよ!」

「そうよねぇ、毎回どこかへ行くたびに登録しなきゃいけないのは、面倒くさいわよねぇ……」


「もし、あなたが他の領地の商業ギルドに行く場合は、改めて商業ギルドの領都支部で、商人としての登録が必要にはなります」

受付嬢がバイロンに言う。

「わかりました」


「なんでボルドー伯だけそんなことを?」

カリナが尋ねる。


「一つはやはり利便性ですね。しかし、最大の目的は、緊急時に対応するためです。辺境伯領は広いですから、魔物の討伐にしろ、他国の侵略にしろ、誰がどこにいるか、何をしているか、を把握しておくことで、人を動かしやすくなりますからね」

「なるほど。さすがインテリジェンス伯!」

カリナが上から目線で褒める。


僕たちは、住所と職業を書いて、書類を受付嬢へ渡した。


「では、しばらくお待ちください。この後、地下の試験場で冒険者試験を行います」


お手数ですが、是非とも評価をお願いいたします。


少しずつですが、定期的に更新できるよう、頑張ります。


誤字・脱字や読みづらい箇所があれば、お知らせください。

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