第二話 道連れは許してください
ガリーナさんとはいつの間にか仲良くなっていた。それは席が隣だったからというのもあるけど。妙な安心感があったせいか、僕はいつの間にか眠っていたようだ。
ふと目を覚まし、うっすらと瞼を開けてみると、隣には誰もいなかった。するとすぐに声が聞こえてきた。
「よく眠れたか? タイスケ殿」
「う、うん。あれ? ガリーナさん、隣に座っていたよね?」
僕の言葉に何故かガリーナさんは顔を赤らめて言いづらそうにしている。
「え? あの、何か?」
「……困る」
「えっ? 今何て?」
「寝惚けていたとはいえ、ワ、ワタシの……む、胸に寄りかかるとは、ど、どういうつもりか!」
「えええっ? そ、そんな感触は無かった。あ、いや」
どうやらしでかしてしまったようで、彼女は顔を真っ赤にして今にも持っていない刀を出しそうな表情を見せている。通路に仁王立ち。これは危険であり、他の乗客の人も気が気じゃないのか上手く説明をしてくれた。旅は道連れ……別の意味で道連れは勘弁してほしいってことなのかもしれない。
「悪気が無いのは分かった。ただ、ワタシは他の席に座ることにする! よいな?」
「は、はい。ごめんなさい」
そう言い放つとガリーナさんは即座に、他の席へと移ってしまった。そして最初のパーキングエリアに着いたので、バスを降りることにしたのだけれど、僕はつくづくガリーナさんにしたことを悔やんだ。
まだ目的地まで遠いのに、この先、僕を待ち受けているものとは何だろうか。期待と不安が入り混じりながら、僕と彼女の運命が変わる予感を感じずにはいられなかった――。




