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俺のクラスの有名人たち


今の状況がどのようにして起こったのかを説明するために、ほんの少し時間をさかのぼってみる。



* * *


先程まで居たのは在籍しているマンモス校の高等部のとあるクラス、自分のクラスだった。

その日はとても残念なことに日直だった。日直はその日の出来事を日誌に書いて提出するのが一日の最後のお仕事というのは俺のクラスでも適用されていた。つまり、俺は放課後に日誌を書いていたわけだ。


その日の放課後に残っていたのは珍しくも有名人ばかりだった。


実は、俺のクラスはこの巨大な学校でも有名なクラスなのだ。

有名な理由というのも、このクラスは特待生が半分以上を占めており、それぞれに優れたものを有している。その中でも特に異彩を放つ者が集まってしまったのだ。




それでは紹介させていただこう。


この人を話さずには話が進まないのでまずはこの人。完璧な美男子(イケメン)の特待生筆頭格、桐生 蓮(きりゅうれん)。名前からすでにカッコいいオーラが漏れ出ているが勿論名前だけではない。


容姿は黒髪サラサラストレート、天使の輪が艶やかな黒髪を一層引き立てている。瞳は人懐っこそうだが凛々しくもある色素の薄い。それを縁取る長く多いまつ毛と二重瞼。唇は薄く、鼻はスッと通っているが平均よりも高いだろう。顎はシャープな形をしている。結論、美少年(イケメン)だ。

ちなみに、今までの容姿の解説は彼の親衛隊の会話より抜粋したものであり、決して俺の観察結果ではない。俺は男に興味ないからな。容姿が優れていてもじっくり観察しようなんてことは断じてしない。


話を戻そう。彼の特徴は容姿の素晴らしさに留まらない。性格は老若男女を問わず平等に接し、時々抜けてる天然で鈍感なところがあるが正義感を持ち、リーダーシップを行事の時だけでなく日常でも発揮している。

学業では特待生らしい好成績で常に上位10位以内。マンモス校であるわが校でその成績を維持するのは難しいことだ。一方、運動面では運動神経抜群で、特に剣道は中学生の時点で全国優勝三連覇という偉業を達成している。結論、スーパーイケメン。もはや人間であることすら疑わしいくらいの超人だ。



そんな人間離れしたイケメンの周りに居る奴らが普通なわけがない。


例えば、彼の幼馴染たちを紹介しよう。


マンモス校のミスコンで必ず上位に食い込む美少女、花咲 香凛(はなさきかりん)

色素が薄く細いふわふわの髪は背中まで伸び、華奢な肩と細い手足は白く滑らかそうで綺麗な肌をしている。ぱっちりした大きな瞳は少々垂れ目気味で、二重瞼、長く少しカールのかかったまつ毛。頬は薄ピンクで染まり、小さな鼻と口が可愛らしく、特に唇はふっくらしていて愛らしさを増長させている。


彼女にもファンクラブがあるらしいのだが所属者は悔し涙を流している。なぜならば、彼女は桐生蓮に恋しているからだ。それも、周りが気づくぐらい分かりやすい反応をしている。だが、彼は幼馴染の彼女の恋慕に気付いていないらしい。主人公特有の鈍感スキルだな、さすがイケメン。


桐生蓮の傍にいる彼女に嫌がらせが起きないのは彼女の性格のお蔭だ。桐生蓮の鈍感なところを陰でフォローし、悩んでいたら助言し、周りと協調に長けている。桐生蓮が男子に僻まれたり女子が目に見えて彼を巡って争わないのは彼女のそういう気配りのお蔭なのだろう。少々運動や勉強は苦手なようだが。




こんな2人が在籍しているクラスでも目立つ奴は他にもいる。


特待生の中でも学業トップと維持し続ける朝倉 楓子(あさくらふうこ)もその一人だろう。

容姿は紹介した2人とは違い特別に優れていないが、童顔、大きなレンズの眼鏡、身長が小さなわりに主張の強い胸は特殊な性癖の男子たちからは人気だ。

性格は引っ込み思案で人見知りだが桐生蓮とは勉学面の共有の話題が出来たことをきっかけに今では桐生蓮の親衛隊の中でも憧憬を強く持つ者の一人なのだという噂を聞く。




一方、目立つ奴の中には優れた面ではないことで有名になっている者もいる。

気付いていた者も居たかもしれないが、俺は花咲香凛を紹介する前に“幼馴染たち”と表現している。

そう、桐生蓮には花咲香凛の他にもう1人別の幼馴染が居る。


もう1人の幼馴染の名前は、夜陣 徹(やじんとおる)

容姿は愛嬌のある平凡な男子高校生。髪は真っ黒で少し長め、目はすこしツリ目だが笑うと少々幼く見える。

性格は苦労性の一言に限る。目立つ幼馴染の二人の後始末に奔走し、鈍感と天然を拗らせた桐生蓮を諫めたり、恋する乙女の花咲香凛の相談相手をしたり、仲を取り持ったりしている。それなのに容姿が平凡気味なことで嫌がらせや悪口を真っ先に受けている。

今では夜陣徹の苦労性を理解してフォローしてくれる者たちが少しずつ増えてきているようだ。





ここまで4人の有名人を紹介してきたわけだが、実はその時なんの偶然なのか全員教室にいた。


いや、偶然ではない。だって、日直は一人だったわけではなかったから。日直のもう片方が夜陣徹。苗字の五十音順で出席番号が決まっているから俺と彼は前後だった。



結果、桐生蓮と花咲香凛は夜陣徹を待ち、放課後に残っていた桐生蓮に朝倉楓子が勉強の相談をする、という状況が成立した。





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