プロローグ
異世界召還。
これを聞いて何を思い浮かべるだろうか?
勇者と魔王?聖女?巫女?それともテンプレ来たー!とかか?
まあ、そんなものは今はどうでもいいのだろう。え?お前が先に聞いておいて何だその態度は?!とか思っちゃった?それなら申し訳ない。素直に謝罪しておくよ。
でも俺にもそんな態度を取ったり無意味な質問を投げかけてみたりした理由はあるんだ。一応はね。みっともなくても言い訳をさせてもらおう。聞きたくなくても聞いてもらいたい。何故かって?それは、俺自身が混乱していて思考停止寸前ってところなんだよ。誰かに話していないと自分の考えが分からず纏められないくらいの大混乱だ。言い訳だが、正直、“事態”を把握するのに頭を使いすぎてい今自分が何を言ってんのかわかんない。
意味分かんねえとか思うだろ?俺も多分聞き手側ならそう思うだろうな。それでもお聞き願おう。そんでもって出来るならばいっしょに考えてほしい。と言っても、俺には君たちの声は聞こえないから意味がないのだけどね。無理ならそんな願いを口にするなと思うかな?だろうなあ、俺ならそんな奴の尻を蹴飛ばすわ。ハッハッハッ。あ、笑ってる場合じゃねえや。
でだ、肝心の“事態”ってやつをここで発表しよう。勿体ぶらずに言えよって?でも、察しのいい奴は冒頭の疑問で想像がついてるだろうなあ。
それでは、本題の“事態”へと移ろう。
強い光と激しい酔いを感じている中でついさっき、
<異世界召還の魔法が発動されました>
と、俺の頭の奥底で抑揚のない女の機械音声がそう告げたられたのだ。