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リトリビューション  作者: セスラ
【二章】許された幸せ
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特異点にいる君 【前】


「特異点にいる君」は前・中・後の3構成で投稿させて頂きます。

面倒かもしれませんが、どうか御付き合いください。



時は過ぎ、夏。

あれから何事もなく時は流れた。


無事一学期も終わり、夏休みに入った。


予定通りのバイト三昧。

これまで以上の退屈さにも馴染(ナジ)んできた。


毎日、予定通りなのだから。



―――――――――――――――――――――――


「暑い・・・」


季節はすっかり夏。

耳障りなセミの声と、無駄に気合の入った日差し。

この組み合わせは想像以上にキツイ。


「空調が壊れたそうだ、耐えろ。俺も暑い・・・」

「でも先輩、これじゃお客さんからクレームきますよ」


今日もファミレスでのバイト。

昨日の演算で『ファミレスのエアコン故障』については知っていた。

知っていたが、暑いものは暑い。


分かっているからと言って平気ということはない。

これが知らないまま起こったと想像すると発狂しそうだ。




「ところで妹さんも夏休みですよね?平気なんです?」

「あぁ、千紗(チサ)か。毎日家でゴロゴロしているよ」


2人暮らしとは大変なのだろう。

まして親のいない状況では尚更だ。


「仕事に行くと言ったらヘソを曲げられちまった」

「はは・・、可愛いじゃないですか」

「まぁ、帰りにプリンでも買って帰れば大丈夫だろう」


全く優しい人だ。

俺にもこんな兄がいれば、少しは違ったのかな。


そんな妄想より、今はこのサウナの様な空間に耐えなければ。

明日には直るらしい。

こんな時、暗算による未来演算は便利だ。




「おい!この店はエアコンもつけないのか!」

始まった。

今日最初のクレームだ。

これが後3人に言われるのか。



「やっぱり来たじゃないですか・・・」

「今日何人に言われるんだろうな、これ・・・」


後3人です。なんて言えるわけもないよな。



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