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己の弱さ
【未来演算】
演算で分かることは結果のみである
自分でも驚いた。
あそこまで世間への適応力がなくなっているなんて。
あの日、商店街で紙とペンを購入し、すぐに未来演算を行った。
今後の流れの全てを計算した。
翌朝、登校してすぐ職員室に呼び出された。
「何があったんだ?学校生活に何か不満があったのか?」
などという俺という名の体裁を心配した言葉を浴びせられ。
少しの間、クラスメイトからの冷たい視線が痛かったが、ある程度の日常も取り戻せた。
みのるとの関係も壊れずに済んだ。
ただ猫の一件以来、変わった点が一つ。
未来演算にかける時間が二倍以上に増えた―――。
朝起きてから、その日の晩御飯。休み時間に交わす会話まで。
全て、全てを計算するようになった。
怖い。もう二度と、わからない未来に恐怖したくない。
順調にいっている。
寸分の狂いもなく、日常が流れていく。
あぁ、なんて素晴らしく、退屈な日々だろう




