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リトリビューション  作者: セスラ
【三章】終りの始まり
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疑念


息が切れてきた。

足が熱い。

道行く者が何事かと俺を見ている。


あれ?

何で俺、走ってるんだっけ?


【未来演算】で出した未来は、変えられない。

今までだってそうだった。


そう、だった・・・っけ?



一瞬、足が止まった。

思考が止まる。瞬きも出来ない。


『どうせ無理だ』

演算をした訳でもないのに、勝手に決め付ける。


今はそんな暇はない!

ハッと我に返る。


今はただ走るしかない!



―――――――――――――――



やっと着いた。

もう走れない。せめて学校の体育だけでも真面目に取り組むべきだった。


ゲームセンターは・・・この通り沿いだ。

ふと、あの日の猫を思い出した。

臓物を撒き散らしていたあの光景を、それを埋めた日を。




「み、みのる・・・」

息を切らしながら店の裏路地へ入る。


「あぁ…ああぁぁあぁ!!」

どんな感情の元に叫んだのだろう。

そこには壁にもたれる様に倒れるみのるがいた。


顔に酷い痣。破られた服。

そして足があらぬ方向に曲がっている。


「みのる!!」

側へ駆け寄る。

ボロボロの彼に。


「あ?あぁ、セラか…」

「大丈夫、じゃ、無いよな」

何があった、とは聞けなかった。

理由を知っている俺には、かける言葉が無い。


「あぁ、救急を呼んでくれると、助かる」

「わ、わかった!待ってろ!」


俺は携帯で救急車を呼んだ。

その際後ろで、みのるが鼻をすする音を、俺は聞き逃さなかった。




わかってただろ―――?

・・・。

違うな、従ったんだろ―――?

・・・。

だから、足を止めたんだろ―――?

・・・っ!!


――――――――――――


「ち、違う!!」

病室で叫んだ。



そこには疑うように、恨むように。

俺を睨むみのるがいた。


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