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無い物ねだり
アキさんはとても素敵な人だ。
何故だろう。まだ親しくもなっていないのに。
「ありがと、また送ってもらって」
「いいですよ、夜道は危ないですから」
短く言葉を交わし、お別れをした。
また会いたい。以前より、強く思えた。
――――カチッ。
『バイトのシフトを増やしてもらえる』
「え…?」
また未来が変わった?
彼女を通すと演算が狂う。
それは分かっていたが・・・
どうやらアキさんは【未来演算】にスモークをかけるだけではないようだ。
「未来を暈す存在」ではない。
だとしたら、まさか。
「未来をリセットする存在・・・」
信じられない。決まった未来を変えられるのか。
未来を捨てた存在だけが成せる事。
「とんだ皮肉だな」
縋った者には決まった未来が。
捨てた者には自由が。
神様は相当歪んだ性格をしているようだ。
なら、俺は「どっち」だろう。
捨てた未来に、また縋った俺は。
俺の未来は既に・・・。
決まってるんじゃない―――?
二章終了(予定)です。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございます!
もう少し続きます。




