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リトリビューション  作者: セスラ
【二章】許された幸せ
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愛、故に


「こんな時間まで何やってたの!!」


帰宅するなり怒鳴られた。


「バイトでちょっと・・」

見知らぬ女に菓子パン買ってました。何て言えない。

それに嘘はついていない。


「それならそれで連絡しなさい!」


説教されているのに、心が温かい。

俺を想ってくれる人。

そんな人、母さんくらいだ。


「何笑ってるの!」

顔に出てしまったか。

火に油を注ぐつもりはなかったけど。


「俺を想ってくれてるのが、なんだか嬉しくて」

素直にぶつかる。それが吉だ。


「何言ってんのこの子は・・・」





「疲れた」

母の説教は1時間近く続いた。

もう明日の演算をする気力がない。


最低限だけ暗算してしまおう。


『自宅にて平凡な一日を過ごす』


明日はバイトも休みだ。

計算する必要もなかったかな。


「そっか、明日はやることもないのか」

もう寝よう、疲労が限界に達した。




翌朝、説教の疲れを消し去るほどによく眠れた。

一日オフは久しぶりだな。二度寝でもしようか。

「いや、流石にもったいないな」


簡単な朝食を済ませ、一息つき終わった。

今日は家でゆっくりしよう。そう思ったが。


(私、ここの405号室にいるの)


昨日の彼女の言葉が頭をよぎる。


―――カチッ。

『不確定』


「また変わった」

彼女を通した未来はやはり不確定。


わからない未来が怖い。

それなのに今は、あの人にもう一度会いたい。



俺の人生は俺が決めたい。

彼女はその鍵になるかもしれない。



どうせ無理だ―――。

そうかもしれない。


あの女も死ぬ―――。

そうかもしれない。


また、終わるのか―――。

そうかもしれない。


でも、俺はもう一度、俺の人生と向き合いたいんだ。




好きにしなよー――。



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