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特異点にいる君 【後】
これは3構成の後編です。
未読の方は前編からお読みください。
吸い寄せられるように公園の敷地内に入る。
ブランコは、確か入って右側だったな。
いいのか―――?
怖い。この先にあるものは予定外の未来だ。
行かなければいい―――。
そう。そうなんだ。そうだけれど。
そこには女の子が座っていた。
つまらなそうに空を眺め、小さくブランコを漕いでいる。
泡いピンク色の服。
あれは、患者の着る服。
なんなんだ、彼女は。
無意識に演算が始まる。
そしてすぐに終わった。
『不明』
何でだ。何故演算が狂う。
彼女のことが何もわからない。
止めるな。何か、何かわかるはずだ。
『死』
死・・・?彼女の、未来・・・?
何時だ?どうして?それもわからない。
ただただ彼女へ歩み寄ることがやめられない。
「こんばんは、今夜はいい月ね」




